学生になりました(2024/3/1)

学生になりました

            海外宣教者を支援する会 会長 村 上 芳 隆 (フランシスコ会)

27年ぶりにサバティカル(研修期間)をとっています。この原稿を書いているのは滞在先のローマです。サバティカル期間は、昨年10月1日から今年の2月末まで。管区長職任期満了後の2023年度は、少し休もうと思っていました。しかし、一念発起して、ローマのグレゴリアン大学で開かれる講座受講を申し出たら新しい管区長から、すんなり許可を得ました。ところが、わたしの思惑は外れてしまいました。
この講座は2023年10月から始まりました。9月まで六本木修道院でゆっくり準備しようと考えていました。ところが、4月の新しい人事の件で長崎への異動を打診されました。10月からのローマでの講座はOKという条件でした。長崎では35年ぶりに小教区司牧の仕事に戻りました。
サバティカルコースの形態も変更されました。9月末にローマに来るように指示されていましたが、復活祭後には前半3ケ月はオンラインで、仕上げをオンサイト、つまりローマで受講するように変更されたのです。ローマ滞在が短くなるのでビザ申請する必要がなくなりましたが、時差は思ったよりも大変でした。

さて、受講している講座は、「未成年者と弱い立場の人の保護(Safeguarding of Minors and Vulnerable Persons)」というものです。これは、カトリック聖職者による未成年者への性加害という大きなスキャンダルに、適切に対応するための実践者養成講座です。この講座は2015年に開講され、現在は英語とスペイン語を交互に一学期間の設定で公開されています。
授業は、特別講演が時々ありますが、講義はほとんどありません。論文や文献、ビデオ(YouTube)等を前もって読み、事前課題の質問に答え、クラスではそれを16名の<学生>たちがグループに分かれて議論や分かち合いをして深める、という形態です。そして毎週、①何を学んだのかという「タスク(課題)」と、②学んでいる間に自分に何が起こったのかという「リフレクション(振り返り)」のレポートを数本提出します。これは大変ですが、学んだことを身に着けるための優れた学習方法論です。試験はありません。
最終課題は論文ではなく、受講している<学生>たちの現場でセーフガーディングの意識を広め深めるための養成プログラムを作成して発表し、提出することです。徹底的に実践志向の講座です。<学生>たちは皆、悪戦苦闘していました。しかし、これもグループワークを通して協力しながら作成するので、皆の絆は強いものになりました。
受講者たちのほとんどがアジアからです。日本、韓国、フィリピン、マレーシア、バングラデシュ、パキスタン、インド、アフリカからエジプト、ケニア、ウガンダ、そして、ドイツから一人。16名の内、5名が女性で、内3名は既婚の女性信徒、2名が修道女です。2人の信徒は教区から派遣されており、すでに実践者として働いている人です。他に11名が教区や修道会から派遣された司祭たちです。内5名がフランシスコ会員で、セーフガーディング担当者として任命された兄弟たちです。わたしたちはサン・イシドロ修道院から毎日15分ほど歩いてグレゴリアン大学に通っています。
振り返ると、とても恵まれた環境でした。わたしたちは生活する共同体、学費、生活費などをすべて、フランシスコ会総本部が準備し、支払い、保証してくれました。日本や海外で学んでいる多くの留学生には恵まれない人たちも多いでしょう。貴重な学びと出会いの機会を与えられたこと、多くの人の祈りに支えられてきたことを、心から感謝しています。