アマゾン地域での宣教(2024/9/1)

イエスのカリタス修道女会 Sr 川 端 キ ヌ ヱ

マチュピチュ遺跡、ナスカの地上絵などで有名なペルーは、地理的、文化的な多様性に富んだ国で、カトリックの信仰も篤い国です。1980年代、ぺルーが、深刻な社会不安と経済危機に見舞われ、紛争と貧困で人々が苦難の中にいた頃、イエスのカリタス修道会は、1982年3月4日、4名の日本人の宣教女を派遣し、リマ市郊外のスラム街にカリタスの家を開きました。その後も貧しい地域で、イエスのみ心の愛の証人として、教会司牧、教育・福祉事業を通して、貧しい人々に寄り添い、愛の奉仕・宣教を行っています。
ペルー宣教30周年を迎えた頃、ウカヤリ県のプカルパ知牧区の司教様(サレジオ会士)から、アマゾン地域での宣教の招待を受けました。聖霊の照らしのもと識別を重ね、ついに、2013年9月27日、聖ヴィンセンシオの祝日に、日系ボリビア、韓国、ペルーの多国籍の3名の会員で、プカルパ修道院が開設されました。ペルー宣教に新しい生命、聖霊が吹き込まれたように感じました。入念な準備と覚悟で始めた新しい宣教でしたが、慣れない土地、気候、人々、風習に戸惑いながらも、創立者アントニオ・カヴォリ神父様から受け継いだ宣教への情熱を胸に、シスター達は、聖女ローザ教会での教会司牧に従事しながら、生活の糧を得るために、一人は公立中学校の宗教教師、二人はカテドラルでのオルガン教室に取り組みました、修道院は、虫食いの古い木造の2階建てで、アマゾン地域特有のサウナのような気候の中、蚊の襲撃と熱帯夜に眠れない日々が続きました。アマゾン川支流のウカヤリ川から、時折吹く爽やかな風に慰められたそうです。徐々に、人々にも信頼され、交流を深めながら、カリタスの宣教の基盤を固めていきました。
数年後、司教様は、対岸の移住民の集落、アバンカイの住民から霊的同伴を願われ、シスター達にアバンカイの集落での司牧を託しました。20戸位の家族は、雨季の川の増水に備えた高床式住居に住み、集落の中心にある分校では、教師一人が、小学1年から6年までの40名位の生徒たちを教えていました。シスター達は、地域の必要と事情を把握し、子供達の栄養補給と家庭の信仰生活を支援するため、木造の巡回教会、子供食堂建築のプロジェクトを企画し、国内外の恩人達を探しました。そして住民と協働して、段階的に夢を実現させました。さらに、井戸を掘ってタンクを設置し、水不足を解消して生活の向上にも貢献しました。巡回教会では、日曜日にシスター達と聖女ローザ教会信徒が、み言葉の祭儀、洗礼や初聖体の秘跡のカテケーシスが行われ、人々の信仰生活の拠り所となっています。
人々は、不安定な日雇いで日々を過ごし、貧困のため、基本的な教育も受けられない子女が多いことを憂慮し、コロナが落ち着いた2021年から、少女たちの養成・教育を目的として、教会のサロンを利用して、小・中学生の10名位で女子寄宿舎を始めました。勉学だけでなく、基本的な教養や作法も身に着けるように支援しています。2023年9月、プカルパでの宣教10周年を感謝のうちに祝い、同年、12月に寄宿生の二人は、修道召命に導かれ、高校卒業後、志願者として本会に入会しました。これは、神様の祝福とシスター達の宣教の実りだと感謝しています。近年、日本人のシスターが共同体に加わり、4名で力を合わせ、過酷な気候、限界や困難と戦いながらも、神様のみ摂理に信頼して、信仰とカリタスの小道をプカルパの人々と共に歩み続けていくことを願っています。