神言修道会 佐藤 新
私が初めて OTP(Oversea Training programme)の神学生としてケニヤへ行ったのが2000年、そこで二年弱の司牧実習を経験して日本に戻り、残りの神学の勉強を終えて司祭叙階、そしてまたケニヤに派遣されたのが 2003 年の終わりの頃ですから、それからおよそ二十年が過ぎたことになります。あっという間だったような、それでもやはりいろいろあったこの二十年の宣教活動には、毎日触れ合う信徒の皆さん、教会に来る青年たちや子供たちが、彼らの人生の中での様々な喜び、悲しみ、そして困難の中にあって守り続ける神様への信頼と、その彼らの力強い姿に励まさせられる自分があります。
さて、私が派遣されているケニヤとそしてその隣の国タンザニアは、地続きの国境をもつ二つの国ですが、神言会としては一つの管区です。どちらの国でも使われているのがスワヒリ語という言葉で、それに加えて特にケニヤの都市部では英語も使われています。日本でもジャンボとか、ハクナ・マタタとかいうスワヒリ語を耳にされたことがある方もおられることと思います。スワヒリ語の発音は日本人からすると案外とっつきやすく、カタカナで書いたものをそのまま読めば、なかなか流暢に話している風に聞こえます。
神言会はこの二つの国の中にある三つの地区で、十一の小教区と、養成のための三つの神学校を持っています。私は司祭に叙階された後にこちらに派遣されて以来、いくつかの小教区で宣教活動をしてきましたが、二年前から日本でいう志願院(修練期に行く前に哲学を勉強している神学生たちの住むところ)で暮らしています
こちらの小教区でも様々な活動がありますが、私たちが特に大切にしているのは、子供たち、若者たちを含めたすべての信徒が主体になって、その活動に関わり、それを通してキリストの愛、神からの恵みである平和をまず自分たちの間に実現させること、そしてその素晴らしさ、美しさを、私たちの生き方を通してまだキリストを知らない人々に伝えることです。
例を挙げると、日本だと教会学校にくる位の年頃の子供たちは、PMC(Pontifical Missionary Childhood)というグループの中で、聖歌隊、朗読者、典礼の中での踊りなどを含めた子供のミサの準備をしたり、その地域にある孤児院やあるいは障害のある子供たちを訪問したり、時には近隣の小教区のグループと合同でのスポーツ大会を企画したりと、一年を通して様々な活動で盛りだくさんです。青年会も、活動が少し異なりはしますが、やはり自分たちの間から選ばれたリーダーたちと、いろいろなことを企画し、行っています。私は彼らの傍で、彼らがいろいろないろいろな問題・挑戦を乗り越えながら歩む姿を見て、そこにこれからの教会の姿、生きる力に満ち、前に向かって歩み続ける教会があることを確信しています。
コロナの問題でこういった活動がかなり制限された状況から、 また少しずつ以前のような、 あるいはそれ以上に、 様々な活動を通して多くの人たちをキリストのもとに招き、 そこに来るすべての人に愛をもって受け入れる教会の姿を保ち続けることができるよう、 いつも神様にお祈りしています。
現在私が住んでいる志願院の神学生たちを含め、 ケニヤ ・ タンザニア、 そしてアフリカで神の呼びかけに答えようと努力している若者たちのために、 皆さまのお祈りをよろしくお願いいたします。