『キリストの愛を掲げて』横浜司教 濱尾文郎
横浜教区では、八〇年代にインドシナ半島から多くのボート・ピープルが到着しました。その中の一人の青年は、召し出しを受けて司祭に叙階されました。九〇年代になって急増したのは、フィリピンや中南米からの移動労働者たちです。九〇年、横浜カトリックセンターでAISA YOKOHAMA(横浜教区アジア社会活動研修会)が開催されました。中国、韓国、フィリピン、ペルー、ブラジルなどからの労働者の住居と就職の困難さ、労働条件や処遇の不備な点などが問題提起されて、これらの課題に対して、教会がどのように取り組んでいくかという研修が行われました。その後すぐに、横浜教区には「滞日外国人と連帯する会」が生まれて、川崎の鹿島田教会近くに事務局が設置され、フィリピン、ラテン、韓国などのデスクが設けられました。今では専従の職員数名とボランティアが活動しています。 二十一世紀も近づいている今日、未だに世界各地の紛争が絶えず、アフリカのルワンダ、エチオピア、中央アジアや東欧からの移住者や難民が苦しんでいます。聖パウロはエフェソの信徒に言いました。 「あなたがたはもはや、外国人でも寄留者でもなく、聖なる民に属する者、神の家族である」(二章十九)。これはまさにイエス・キリストによって実現され、示された理想的な世界の姿なのです。この地球上には、無数の民族、種族が住んでいます。皮膚の色、言語、習慣、文化も互いに違います。男女の別もあり、老若や健康の差もあります。能力の多少もあれば、階級の違いも存在しています。このような違いのために、自分の祖国や家族から離れて働き、生活しなければならない人々がいるのです。 救い主イエス・キリストは、十字架の死と復活の救いの業により、どんな人でも差別なく、みな父である神の子どもとして認めて、目を注いでくださっています。同じ父を持つ子ども同士は、互いに兄弟姉妹であり、まさに神の家族です。一つの家族である私たちは、どこにおいても、誰とでも兄弟姉妹として関われるはずです。しかし真の兄弟姉妹とは、仲の良い関わりばかりではなく、ある場合には相手の失敗や過ちさえもー緒に担うはどの勇気が必要です。決して生易しいものではなく、これこそ人のために命さえ惜しまなかったキリストの十字架の意味を考えさせるものです。このように尊い愛を目標として希望を持ちながら、二十一世紀に向かって前進したいです。 『第六五回役員会報告』「会」の第六五回役員会が、一九九八年(平成十)六月一六日(火)午後六時から、東京・四谷の上智大学SJハウス会議室で開かれ、次の案件を審議、決定した。
『一九九七年度会計報告』(一九九八年三月末現在)
『援助決定』(1998年6月16日決定分)
(※1997年度援助活動の明細は19ページ参照)
『新旧理事長ご挨拶』さて、私儀この度ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世よりバチカンの移住・移動者司牧評議会議長に任命されたため、六月十九日をもって当協議会理事長職を退きました。 新任務は、当協議会の職務と密接なかかわりがあるものです。ここに感謝を込めて報告させていただきます。 新たに重責を担う新理事長へも変わらぬご協力ご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げます。 感謝のうちに
一九九八年八月十二日
財団法人 日本カトリック移住協議会 前理事長 濱尾文郎
さて、私儀 この度新しい役職を受け、その任につきました。微力・非才の身ではありますが、皆様のご協力に支えられ、当協議会の使命遂行のために尽力させていただく所存です。なにとぞ、皆さまのご支援ご鞭揺を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。 祈りのうちに 一九九八年八月十二日
財団法人 日本カトリック移住協議会 理事長 池長潤
(大阪教区大司教国際協力委員会委員長)
(なお、移住協議会理事長は、「海外宣教者を支援する会」の名誉会長になられます。)
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