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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES






『南米パラグワイ移住地を訪ねて』

聖母病院副院長 大森茂
 昭和天皇逝去で昭和の終えんを迎え海外移住者及び海外宣教者の皆様と共に心から哀悼の意を表します。
 また、平成元年という新しい年を迎え、この年頭の大切な時に貴重な紙面を私如きの拙文にて汚すことをお許し下さい。
 私と南米移住との関わりは、昭和三十七年にラテン・アメリカ医学協会が発足した際、その要請で海外協会連合会(現在lICAの前身)の嘱託医として、当時移住地開拓三年目のアルト.ハラナ移住地に赴任したのがそもそもの始まりで、当時まだ三十二才でした。
 移住者は約三百家族で、昼なお暗い原始林と闘いながら営農に励み、私も道なき道をポンコツジープで往診に、また、診療所では無数の虫やネズミやへどと同居しながら診療に明け暮れておりました。
 その苦労は筆舌に尽し難いものでした。そのパラグワイに、この度、リオデジャネイロで開催された国際学会の帰途立ち寄る機会を得、二十六年後の今、移住者の皆様の成功と幸せな生活ぶりを見て誠に感慨深いものがありました。二年前にパラグワイ移住五十周年祭の式典に常陸宮華子両殿下の参列を得てその成功を祝したばかりです。
 また、この度の訪パのもう一つの目的は、海外宣教者の方々にお会いし、その御苦労を労うことでした。幸い、現地のJICAの好意でイグアス、アルトパラナ、フラム、エンカルナシオン、アスンシオンと各移住地を訪れ、八人のシスター方にお会いすることが出来、苦労話など聞かせて頂き、昔を偲ぶことが出来ました。中でも、ピラポ診療所に勤務していた頃、すぐ前の教会におられたホアキン神父にお会いすることが出来、二十六年ぶりの再会を喜びました。鋸今はオエナウのドイツ人移住地の神学校の校長をしておられます。
 昔よりお肥りになられておりましたが、当時は電灯などなく、診療所で自家発電すると、門前の街灯のもとで虫に刺されながらよく読書に耽っておられた姿が懐かしく思い出されます。非常に勤勉で日本語がお上手で、毎日のように入院患者の見舞いに来ていただきました。
 また、昨年のヨハネ・パウn二一世のエンカルナシオン訪問の際、フラム移住地におられるシスター林が宣教者の代表として謁見の栄誉を賜ったことは、 我々宣教者の会(絆)としても誠に喜ばしく敬意を表する次第です。
南米の殆どの国がカトリックを国教と定めて、国民の大半がカトリック教徒であり、多くの開拓の歴史が教えてくれるように常にそこに教会があり、宣教者がおられます。移住地はこれからも教会と共に歩んで行くでしょう。
 今回の旅行で、私が以前赴任したことのあるもう一つの移住地、ボリビア国、サンファン、及びオキナワ移住地、日程の都合で立ち寄れなかったのが心残りですが、どうか海外宣教者の皆様、厳しい条件の中でくれぐれもお身体に気を付け、次世代を担う子供達の教育に、宣教に、そして国境を越えた世界人類愛のために頑張って下さい。
 最後に開拓の夢半ばにして亡くなられた移住者の方々の墓地を訪れ「拓魂碑」のもとに、共に苦労した多くの知人の名前の刻まれた墓石が立ち並んでおりました。心から御冥福をお祈り申し上げます。

ホアキン神父と26年ぶり再会!の大森夫妻
ホアキン神父と26年ぶり再会!の大森夫妻








『第27回役員会報告』

 第27回の役員会が昭和63年12月15日午後6時から、中央協議会の会議室で開かれ、次の案件を審議、決定した。
@「きずな」25号について=12月1日発行の25号は、写真の挿入も多くなり、現地の様子がよくわかった。今後も出来るだけ多く写真を挿入する編集をという要望などがあった。
A「きずな」26号について=巻頭言は、大森茂氏に依頼する。発行は3月1日、四〇〇〇部、原稿〆切は2月10日。
B援助審議=(別稿)援助については、もっとも必要性の高い所へ―の姿勢は忘れず、また、地域的に偏りのないよう、援助要請の出せない所などもあると思われるので、各修道院などから、その状況を知らせてもらい、申し出を多くのところから出来るようにしていくことなど、意見を交換、確認した。
「会」への援助要請の手続き・方法……@宣教者が働いておられる所の司祭、司教からの推薦状。A必要とする援助の具体的な内容(実情報告も)、B援助を必要とする金額は具体的に(例えば「いくらでも…」とか、「一〇〇〇ドルぐらい」という表現ではなく)。C援助項目が複数にわたる場合は、一項日ごとについての金額、品物等。D確実な送金方法(地域によって事情異なるため)。会では、偏りない支援を行ないたいので、各地の情報をー。


『援助決定』
 (1988.12.15決定分)
地城申請者援助内容援助額摘要
インドネシアSr服部寛子(御聖体の宣教クララ修道会)学校増築用費の一部460,000円1回
ブラジル井戸井栄神父宣教用ガソリン代240,000円1年分
ボナべ援助マリア修道会ポンベイ修道院宣教用中古トラック520・000円1回
ペルーSr井上優子(天使の聖母宣教修道女会)僻地巡回宣教用車購入代500,000円1回
ペルーマヌエル加藤神父(フランシスコ会)医療センター建設費の一部500,000円1回
ザイールSr福永順子(マリアの宣教者フランシスコ修道会)ザイールの病院の医療器具等の購入費400,000円1回
2,620,000円