フィリピンからのお便り(バコロドにて)善きサマリア人修道会 シスター後藤 圭子・鈴川 良・迎 衞子
恩人、友人の皆様常に政情不安定、考えられないような貧富の差、暑い暑い太陽に照らされた乾季が過ぎ、雨季に入ったバコロドより今日は! このような状況の中で懸命に生きる人々と共に生活できるのも、皆様からの暖かいご支援とご指導の賜と感謝の気持ちでいっぱいです。この一年の主な出来事をお知らせして、日頃の感謝に代えさせていただきます。 善きサマリア人幼稚園では3月31日、第2回卒園式を挙行し、51名の子供たちが記念のメダルと修了証書を手に、6月からの小学校入学への希望を胸に、巣立っていきました。開園2年目の今年は、保護者の方々から目に見える大きな協力を受けて、勉強や行事に取り組むことができました。 特に、シスター・ユージニーの保護者学級の母親を中心にして、12月にコーラス・グループが結成され、園長以下教職員も参加し、クリスマスキャロルを歌って、スポンサーとなって下さる家庭を巡り、幼稚園のための資金集めをして下さいました。その成果は「善きサマリア人のたとえ話」の壁画となって、日々園児を見守っています。 また1月27日、病気のために帰天した園児ゾーレン・リーゴソのための入院治療や埋葬の費用の援助にも使われました。その園児の死に、私たちは改めて「貧しさ」とは何かに直面させられました。と同時に、貧しさの中での人々の助け合う力に感動いたしました。 奨学金プログラムについては、今年、インマキュレイト・コンセプション タリセイ校の一人の高校生が首席で卒業し、8人の優等生の内6人までが私たちの奨学生という成績でした。教会付属幼稚園の卒園式は3月23日に挙行され、私たちの大学奨学生第1期生で、現在公立小学校で教えているジャン・セガヤさんがゲスト・スピーカーとして招かれ、私たちにとって二重の喜びでした。また、神学生奨学金の援助も頂き、5名の神学生が、将来の司祭職を目指して、勉強に、司牧体験に励んでいます。 ヘンリエッタ村のサン・ジョゼフ小教区では、保護者の要望に応えて、40名の高校奨学生の他、職業訓練コースを開始しました。20名が3ヶ月間のホテル・マネージャーによるお客への対応課程、また10名が電気器機修理課程を学び、修了証書を手にしました。高校を卒業しても就職口のないフィリピンで、手に職をつけることは大切です。海外就労者からの援助だけに頼らないで、自国での雇用促進を進める政治家の活躍を願うばかりです。今年は洋裁とマニキュア・ペディキュアの課程が予定されています。 善きサマリア人幼稚園でも保護者の活動として、裁縫プロジェクトを計画しています。また、保護者のための保健衛生講座も緊急に必要で、新しく多目的教室の建て増しに迫られ、計画中です。幼稚園児への給食プログラムも徐々に始めており、保護者の方々の手伝いを期待しています。 ブルバード・マムブロック地区への訪問も7年が過ぎ、子供たちの成長は目覚ましく、また新しい赤ちゃんの誕生も多いです。家族の中で6番目、7番目という赤ちゃんも多く、日本での少子化問題はここでは考えられない話です。一人のお年寄りが天に召され、家族の願いで初めてブルバードを訪れた教区司祭は、狭い場所にあまりにも多くの人々が住んでいるのを見て、驚かれました。ここは多くの人々から忘れられている地域と言っても、過言ではありません。でも、今年初めて念願がかなって、5月のフローレス・ド・マイヨ(カトリック教会で大切な子供への教理勉強会)が1ヶ月間、高校生の手助けによってブルバードの路地で実施されました。マムブロックは教会に近いので、直接教会で参加できます。 次の世代のカトリック教会を担う司祭養成の場であるバコロド教区神学校で、昨年6月からシスター・フランは、養成チームの一員として講義と霊的指導を担当しています。貧しい中で熱い信仰を持ち続けている人々への真の司牧者となる司祭の養成を願って止みません。また、オーストラリア人のシスター方は、広く他の修道会のシスター方の養成も助けています。 私たちの修道会の第24回の総会が昨年9月に開催されましたが、その指針声明は「私たちは希望をもつ女性……」という言葉で始まっています。世界各地での終わりのない戦い、爆弾テロ、大自然災害、事故、殺人、強盗など数え切れない悲しい出来事が連続しています。この中にあっても、なお私たちは神のみ旨を信じ、神のご計画の中にある人間として、この宇宙の一員として与えられた生命が、希望をもって生きることができるよう、努めたいと思います。 皆様の善意のご支援に神様が報いて下さいますよう、毎日のお祈りをお捧げしています。 2006年06月
チャドからのお便り(ギダリにて)ショファイュの幼きイエズス修道会 シスター 入江 多嘉子
頼りにされているギダリ診療所ギダリ・カトリック診療所は1966年に開設され、私で14番目の責任者を迎えたことになります。1989年10月から正式にショフアイュの幼き修道会に管理運営が委ねられ、シスター大湾が責任者として赴任しました。診療所のスタッフは3人のチャド人です。3人共20年以上働いているベテランたちです。平均年齢49歳、今年の8月にはカメルーンのカトリック看護学校に送った奨学生の青年が勉学を終えて、スタッフに加わる予定です。 チャドは国内紛争が長く続き、その後も経済状態は不安定で、他の診療所(公立、プロテスタン系)では、薬品や器具が不足し、看護学校卒業後すぐに責任者として任命されるため、経験不足が原因で診療所としての機能が果たせずにいます。 そのためギダリの診療所には遠くから来る病人が絶えません。ギダリの村の周囲には15キロを間隔として公立、プロテスタントの診療所があるので、各診療所がその機能を発揮すれば、病人たちは長い距離を動かずにすむのにと残念です。ギダリ診療所は日本の方々の善意に支えられて、困難はあっても、なんとか薬品、器械の購入が可能となり、スタッフの経験の豊かさと相まって、診療所としての活動機能を十分に発揮しています。 生後0〜11ヶ月までの乳児を対象にした予防接種でも、好成績をあげています。世界保健機構がポリオ撲滅キヤンペンを掲げていますが、チャドでも2001年から2005年まで毎年5回、一斉に国内でポリオワクチンの予防接種がありました。ギダリはいずれも100%以上の成績を上げました。 チャドでは住民登録が徹底していませんので、世界保健機構で決められた統計率で、人口、年齢層、出生、妊娠、年間総数を割り出します。基本数は1993年に行われた国勢人口調査でだされたものを使用していますので、転入、転出のはっきりした数字が分らないため、いつも100%を越えるのです。日本では考えられない問題ですが、人口把握という基本数だけでも大変な仕事になります。多くの困難、種々様々の問題を抱えつつも、スタッフと共に日々、地域住民の保健衛生の向上、健康の資質向上に努めています。この場をかりて皆様に心からお礼を申し上げます。 2006年06月
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