ソロモンからのお便り(メダンにて)サレジオ修道会司祭 飯田 徹
海外宣教者を支援する会御中†主の平和と善 日本はうっとうしい梅雨の季節と思いますが、スタッフの皆様お元気に活躍の事と思います。前回のメールでは天候が安定してソロモンらしい暑い日が続いていると書きましたが、今年は異常気象のようで、6月に入り曇りがち時々雨と言う日が多く、気温が上がらず、過ごし易い毎日が続いています。 先週の木曜日(6月24日)の朝などは寒さで鳥肌が立ち、普段はTシャツの上にアルバを着けて御ミサをお捧げするのですが、その日はジャージを羽織りその上にアルバと言う状態でした。と言っても気温自体は25度Cを少し割った程度で、日本で言う寒さとは比較になりませんが。 例によって今回も「ソロモンにも目を向けてください」を送りますので、宜しくお願いいたします。 「ソロモンにも目を向けてください」 ソロモンでは市街地の住宅を除いて、一般の住宅には便所が無く、ブッシュ(村落を取り囲むジャングルの中で)で済ませていることは前にお知らせしました。今回は食事・台所についてお知らせします。台所については市街地の住宅でも、私たちが考える台所設備がある家は少なく、家の外に石やブロックで火床を作り、釜戸と言った物は無く、流し台がある家も少ないです。勿論、金持ちの家には流し台、ガスレンジ(LPG、ソロモンには都市ガスは未だ無い)、電気冷蔵庫などありますが、庶民の家は市街地と言えども上記のとおりです。庶民にはLPGは高嶺の花で、炊事にはLPGより遥かに安い薪が使われており、時間帯には煙が棚引きます。 以前にどちらの会のシスターかは忘れましたが、アフリカで釜戸を普及させて、砂漠化の防止に役立っている記事を読み、私もそれを真似ようと考えましたが、雨と太陽に恵まれたソロモンでは、薪は無尽蔵にあり、燃料の効率化と言う面では普及させられないことが解りました。 経済的に貧しいソロモンの人々にとっては、わざわざお金をかけてまで釜戸を導入しなくても、石を積み、或はブロックを並べるだけで間に合い、それよりは何かが欲しいと言う訳です。ソロモンの主婦たちにとって流し台、ガスレンジ、冷蔵庫などは憧れの的ですが、現実的には経済状態が許さず、家族との関係から優先順位の初めに置くことは出来ないようです。 村落では勿論、私たちが考えるような台所など無く、しかも各家に炊事場があるのではなく、何軒かで共同の炊事場を持っています。「炊事場」と言う言葉を使ったのは、日本にあるキャンプ場の炊事設備よりも遥かに劣るからです。ニッパ椰子の葉で葺いた屋根の下に火床と調理台(今にも潰れてしまいそうな汚れ切った木の台)、蒸し焼き料理のための玉石があるだけで、他にこれといった設備がある訳ではありません。 洗い物は井戸端で行い、同じ場所で洗濯もしています。井戸も何軒かで共同で使っています。その井戸は手掘りの井戸で、浅いので衛生状態が気になります。それでも井戸があれば良い方で、丘陵地帯や山岳部の部落では井戸が少なく、雨水や川の水を利用しています。また鍋、食器なども充分にある訳ではなく、大勢が食事をする時など、先に食事を済ました人が使った食器を洗わずに次の人が使う、或は鍋の蓋を食器代わりに使い、最後の人は鍋から直接手掴みで食べると言う状態です。 その食事の仕方もスプーンやフォークがこれまた充分にある訳でなく(勿論、箸文化は無い)、手掴みで食べる人が多いです。反面、飢えを経験したことの無いソロモンの人たちは日本的感覚で言う「食べ物を大事にする」と言う感覚が無く、ご飯粒でも何でもよくこぼし、また自分の器によそった食物を平気で食べ残します。それを豚、鶏、犬などが掃除する訳ですが、何れにしても衛生状態は極めて悪く、蝿その他の害虫が多く、またソロモンの人たちに「衛生」と言う観念は無いようです。 ソロモン政府は衛生状態の向上のために絵入りポスターを張り出すなど、色々と試みているようですが、一向にソロモンの人々の衛生観念は向上せず、平気で生ゴミなどを散らかし、害虫の発生源は減りません。便所、台所の改善を普及させ、衛生の向上を図りたいのですが、その前に衛生意識を持たせねばならず、前途多難です。 サリー部落の台所2ヶ所(ソロモンの人たちはカスタム・キッチンと呼んでいる)の写真を送ります。台所スペース自体は結構広く、火床、玉石置き場、薪置き場、調理台、棚等があり、1ヶ所には戸棚が写っていますが、例外的にこの台所にはあったということです。 1. キッチンその1
2004年06月28日
フィリッピンからのお便り(バコロドにて)善きサマリア人修道会バコロド共同体
恩人、友人の皆様シスター・後藤 圭子、鈴川 良、迎 衛子ほか 人々の”平和”への願いもむなしく、日々のニュースは爆弾テロ、誘拐、殺人、銃撃戦であふれています。このような中で皆様にはいかがお過ごしでいらっしゃいますか? 平和への道が絶望的とも見えるこの世界の片すみで、皆様の変わらない暖かい善意のご支援とご指導により、経済的に恵まれない家庭の子供たちにしっかりした幼児教育をとの願いで、善きサマリア人幼稚園(Good Samaritan Kinder School)が誕生いたしました。今年はこの喜びのニュースを中心にバコロド便りNo.15をお送りして、日ごろの感謝とさせて頂きます。 昨年10月13日から始まった工事は今年の5月まで続きました。そして5月22日(土)、善きサマリア人修道会会長 Sr. Sonia Wagnerと日本地区責任者 Sr. 森川晴子のテープカットに続いて、十字架を先頭にその日までに手続きを終えた子供たちが保護者に手を引かれて、前日の激しいスコールで洗われ、緑の美しい園庭へと入場しました。落成式のミサは、バコロド教区長X. Navarra司教様とコロンバン会のT.Bennett神父様(前主任司祭)と Brian Goa 神父様、Rolly 神父様(主任司祭)の共同司式でした。ミサ後に司教様は教室をはじめすべての施設を祝福して下さいました。 6月7日(月)いよいよ幼稚園が始まりました。初めてのことで戸惑いながらも、誇らしげに登園した子供たちを皆様に見て頂きたいと思いました。Kinder l(4歳〜5歳)、Kinder 2(5歳〜6歳)それぞれ午前と午後の2クラスづつ122名の子供たちです。中には13歳で初めて学校教育を受ける子供もいます。最初の日に早速3冊の教科書(算数、英語の読本と書き方)が手渡されました。ここは日本とは違い、幼稚園は小学校入学のための基礎学力を学ぶ場です。そのため、カリキュラムにはフィリピノ語、宗教、音楽、美術、日本語まで取り入れています。 Sr.Leonie は園長兼 Kinder 2 担任、Ms.Marites は Kinder l、Sr. 迎は受付、音楽、美術、日本語と図書担当など、子供全般の気配りなどたくさんの役割があります。Mr. Bernie は施設全体の維持管理です。 子供たちにとってまず目を引くのは緑の木々の中に点在する色鮮やかなスベリ台、ブランコにシーソーです。またきれいな本棚に並べられた絵本にも強い興味を見せています。 多くの子供たちにとって初めて使う水洗トイレは、よりよい社会人への第一歩でしょう。水は良い井戸を掘り当てることができ、しかも飲料水としても適しています。 奨学金プログラムを始めて14年となるタリサイ・コンセプションにも、地域の人々のカトリック幼稚園をとの要望に応えて、教室が一つだけの可愛らしい教会付属幼稚園が開園しました。この幼稚園の建物も皆様からのご援助によるものです。感謝でいっぱいです。 先生は私たちの奨学生で昨年教育学部を卒業した Arthur V. Lobaton 君です。そして今年も4月初め20名が高校を、2名が大学を卒業し、6月から128名の元気な奨学生が新学年を迎えました。バコロド市内、海沿いの貧しい人々の住む地域のヘンリエッタ・ビレッジでも70名の奨学生が今年も勉強に励んでいます。保護者、奨学生との連絡を密にしていきたいと思います。 昨年度は幼稚園建設が活動の中心でしたが、海沿いの貧しい人々の住む BoulevardMambuloc への訪問は続けています。この4月から2年ノビスとなった Sr. Germiaが、Sr. 鈴川と共に使徒職体験プログラムの一環としてこの地域への訪問を始めました。イロンゴ語を母国語とするシスターの訪問は、お母様方にとって大きな助けです。彼女はまた、週1日は私たちの幼稚園で手伝います。養成チームの Sr.Eugennieは、バコロド地区合同初期養成講座(志願者、ノビス、有期誓願者)の講師を務めました。 Sr. 後藤は、初期養成、修道会バコロド地域担当者としての責任ある役割を果たしています。 善きサマリア人修道会のフィリピン宣教15年後、はじめて修道会としての活動拠点を持ちましたが、“フィリピンの人々と共に住む”、“隣人として頂く”という初心を忘れず、これからも貧しい立場の人々の自立の支えとなっていきたいと思います。どうぞ今後も変わらないご指導、ご支援をお願いいたします。また、共に祈り、働き、歩む人々が必要です。神様のお望みなら働く人々を送って下さるよう召命のためお祈り下さいませ。 昨年は世界情勢不安が大きく、休検学習へ参加して下さるグループがいらっしゃいませんでしたが、今年は参加下さるようお待ちしています。 皆様の善意に神様の豊かな祝福とお恵みがありますよう祈りつつ、感謝のうちに。 1. テープカットをする Sr. Sonia と Sr. 森川晴子
2004年06月20日
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