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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES

宣教者の声

ソロモンからのお便り

サレジオ修道会 司祭 飯田 徹
主の平和と善
私は、昨年の7月語学研修の為、急遽ソロモンを離れた為、「ソロモンにも目を向けてください」と言う便りを、海外宣教者を支援する会へ出しながら、沈黙せざるを得なかったサレジオ会日本管区司祭の飯田 徹です。今年9月にはソロモンへ復帰しましたので、「ソロモンにも目を向けてください」を再開したいと思います。ところが、アイルランドとソロモンを往復する際にパソコンを壊してしまい、それまでに書き溜めた文書を失った為、内容が重複するかもしれません。

「ソロモンにも目を向けてください」

私達がソロモンで宣教に従事するテテレ小教区は首都のホニアラから東へ30kmの地点で、電気、電話、水道、ガスが無い所で、メールを出す為に、ヘンダーソン国際空港の在る所(此処には電気と電話は在る)まで、20kmの道のりを出なければなりません。テテレは悪路と言えども幹線道路が通っているので、道路の穴に注意しながらでもまだましです。
テテレ小教区域(南北約50km、東西約25km)に孤立的に点在する部落は幹線道路沿いにあるとは限らず、奥の細道と言いたくなる様な脇道を巡回しています。特に雨季(11月−3月)には、道に池の様な水溜りが出来たり、ぬかるんで4WD車でもおっかなびっくりそろそろと急いで走らねばなりません。「そろそろと急いで」と言う矛盾した表現は、ぬかるみをゆっくり走ったのでは、ぬかるみにタイヤを取られてしまい、かと言って速く走ったのでは返ってぬかるみに突っ込んでしまう為、水溜りやぬかるみの状態を見極めながら、と言う事です。特に南部の山岳部落への道は滑り易く、道の上に流れが出来てしまい、土砂が流されて溝が出来たり、ダムが出来たりと散々で、谷底に滑り込まないように注意しながらです。
巡回司牧の主な目的は、日曜日毎に歩いて教会に来られないお年寄りや子供達、小さな子供を持つ母親達の為です。巡回しなければならない主な部落は9つ在り、毎週土曜日の午後各部落へ行き、先ず聴罪を行い、それから日没前に日曜日の前晩のミサを行います。日没前に前晩のミサを行う事は典礼規則違反ですが、電気が無いので夕方日が暮れる前にと言うわけです。それでも告解希望者が多い時などミサの途中で暗くなってしまい、蝋燭を近づけたり、懐中電灯で照らしながら福音を朗読したり、典礼文を唱えたりします。それでも9ヶ所を回る為には2ヶ月掛かるため2月に一度しか行けません。それでは日・月以外の平日は何をしているかと言うと、原則として月曜日は休養日で、それ以外の平日は必要に応じて臨時巡回したり、教会周辺の青少年相手の生活の知恵的職業訓練をしています。
臨時巡回と言うのは、各部落の特別のお祝い事のある日や、洗礼式、結婚式、葬式などです。洗礼式は幼児洗礼である為、生まれたばかりの子供を教会に連れて来られないからです。結婚式は部落を挙げてのお祝い事で、葬式は遺体を教会に運べず、部落の墓地へ埋葬するからです。ソロモンは交通機関が未発達で、タクシーは殆ど無く、ましてや霊柩車など有りません。私は日本にいた時は結婚式も葬式も司式した事が無かったのですが、ソロモンに来て葬式はもう5回も司式しています。その内2回はお年寄りで、3回は中学生以下の子供です。3人ともマラリアの手遅れで、若い命を落としています、こういう葬式は司式していて、とてもやりきれない思いです。もっと交通網が発達していたら、交通機関が発達していたら、近くにお医者さんがいたらと思っても致し方の無い事です。
2003年10月20日