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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES






『多様性の文化の中で生きること』

マリアの宣教者フランシスコ修道会 桐野 香



 モーリシャスから日本に帰省するたびに、種々の変化が目に付きます。外国人がまた増えた、ということもその一つです。私はこれは日本にとってよいことだと思うのです。なぜそう考えるのかというと、それは私の体験からお話したほうがよいと思います。
 私の生活している国モーリシャス共和国は、その歴史を知るとうなずけるのですが、人種のるつぼのような国なのです。オランダ人によって発見された小さな無人島モーリシャスは、百年にわたりフランスの占領地となり、その間アフリカから奴隷として人々が連れてこられました。その後イギリス領となり、奴隷解放後、労働者としてインド人が多数集団移住、続いて中国人が商業目的で移住し、今から37年前に独立しました。
 人々はそれぞれが固有の文化を保ちながら、それを他文化の人と分かち合いながら生きているのです。それは決していつもやさしいことではありません。時には摩擦もあり、衝突もあり、差別もあります。固執や排他性が見られることもあります。それでも皆、それらの困難に出会いながらも、理解と歩み寄りと受け入れの努力をしながら、一つの国民として歩んでいます。彼らはこの互いの違いによって、とても豊かにされています。私がこの国に行ったばかりのころは、すべてが新鮮な驚きでもあり、戸惑いでもありました。その豊かさに圧倒されそうでした。そして、そういう社会の中にあって私は日本人として、何を分かち合うことができるのかは、私にとって大きなチャレンジでした。でも、この多様性の文化の中で生きることによってたくさんのことを学び、とても豊かにされました。そいうわけで、日本での外国人増加という現象は、歓迎すべきことではないかと思うのです。彼らの文化との出会いによって、豊かにされるのは私たちなのではないでしょうか。
 最後に私事ですが、私の家族の中にもこのかかわりが始まっていることを分かち合わせていただきたいと思います。先日義兄から、気の毒な不法滞在のタイ人とその息子のために、滞在許可証を取る手伝いで、地方自治体と入国管理事務所に日参しているという話を聞きました。また、甥の一人は最近、両親の反対を押し切ってタイ人と結婚しましたが、幸いに両親も今は理解を示しているようです。私はこれらのかかわりを喜び、心からの声援を送っています。一人でも多くの方が勇気を持って、小さなかかわりから始められたらと願っています。

 モーリシャス共和国:マダガスカル島からさらに800キロ東のインド洋に浮かぶ島国。
人口114万人で人口密度はアフリカー高い。首都はボート・ルイスで1968年に独立。サトウキビ栽培、砂糖生産が主産業。






『第16回運営委員会議事録』

日時:2005年3月10日(木)18:00〜19:50
場所:四谷SJハウス会議室
議事:
I.「きずな」第90号について
 1)「今号はおたよりが多かったので、20ページに収めるために大幅にカットしたものがあったが、ご了承いただきたいと担当者からの報告があった。
 2)Sr.根岸の記事は、お話を聞く会の報告を89号で読んだ後だけに、興味深かったのではないか。
 3)事務所来訪者の紹介記事は皆さんから好評を得ている。
II.「きずな」第91号について
 巻頭言は宣教者の方にお願いすることにし、Sr.桐野香(モーリシャスから一時帰国)を第一候補として、Sr.斉藤に依頼していただくことになった。締め切りは5月10日。発送作業は6月1日(水)。
III.援助申請の審議
 04年度の予算としては約100万円を残すのみのという状況であり、それに対して今回の申請総額は507万円に上るので、先ず申請の4案件を全般的に審議した上で、結論を出すことにした。その結果、残念ながらどの案件も大幅に金額を減らした上で承認するしかなかった。なお、プルキナ・ファソのSr.黒田の自動車購入のための80万円については、審議を次回に繰り延べた。
 1)ボリビア・コチャバンパのSr.末吉(宮崎カリタス修道女会)からの申請:機織りのための作業場建設資金(140万円)の一部20万円を承認。(この申請はすでに前回提出されていたが、書類上の不備があったので、補足した上で再申請されたもの。)
 2)カンボジア・シェムリアップのSr.黒岩(ショファイユの幼きイエズス修道会)からの申請:@貧困家庭の支援、Aプレスクールの先生の給与、Bスタッフ給料の3項目のうち、@の米と粉ミルクの申請額421,200円の約半額20万円を承認。残りの半額は05年度で支出することを承認。
 3)ボリビア・コチャバンパのSr.秋永(宮崎カリタス修道女会)からの申請:貧しい子供のための幼稚園の食費と教材費160万円の内、40万円を承認。申請書の5年間にわたる援助のコミットは保留。
 4)フィリピン・ボホールのSr.A.チャンバレン(クリスト・ロア修道女会)からの申請:カトリック私立高校図書館の修理作業費、家具、コピー機など備品と教材用図書の購入費など合計125万円の内、20万円を承認。
IV.顧問司教の依頼について
 司教様が帰天されたことで、後任の顧問司教の就任を審議しなければならないが、次回6月の委員会に各委員の考えを持ち寄り検討することになった。
V.その他
 1)2005年度版宣教者名簿について:4月から作業を開始する。
 2)報告事項:
 ◆中央協に海外宣教者に関する統計資料の提供について:ヴァチカンからのアンケートに答えるために必要な宣教者に関する資料であり、限定した項目についてのみパソコンに入っているデータを提供した。必要な項目以外はロックされているうえ、データは返却される。
 ◆麻布教会への寄付願いについて:昨年同様、同教会の対外的寄付先としての申請を出すよう呼びかけがあり、申請額として30万円(昨年は20万円)で申請書を出すことになった。
 3)次回の運営委員会は6月10日(金)18時から。