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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES







『水、いのちの泉』

〜ブラジル〜
コンベンツアル聖フランシスコ修道会 日伯司牧協会(PANIB)副会長 松尾 繁詞



 ブラジルの教会は、今年の「四旬節兄弟愛運動(CF)」のテーマに『水』を掲げました。悠々と流れるアマゾン川とはうらはらに、何年も雨が降らない乾燥地帯で苦しむ、ブラジルの北部にすむ人々に目を向けます。
 人間存続に不可欠な水の必要性を取り上げました。水のないところに生命は存在しません。私たちの体は水が70%を占めていて、水を飲まないで4日間以上は持たないといわれています。世界的健康管理組織は、人間が健康を維持するためには1日40リットルの水が必要だと教えています。CFのテキストは、3000万以上の人々に良質な水が不足していて、貧しい国では、水の使用と関係する病気で5人のうち1人が、5歳未満で死亡していると報告しています。この現実を前にしてCFは、もっと大自然を大切にし、現在と将来の人類のために神の賜物であるその自然を大切に保護しなければならないことを示そうとしています。2050年には、人類の40%が水の汚染による重大な問題に遭遇するだろう、という警告も出されています。森林伐採、工業廃棄物、大都会の汚水排出…かって日本が苦しんだ出来事がここにも起き始めています。
 CFのもうひとつの目的は、この水に対する態度、教育を緊急課題として取り上げ、水のムダ使い、正しい使い方、水を確保するために公共政策と協力していくことにあります。水の問題は広範囲に及びます。水源の確保・管理、水力発電、経済的・社会的な関わりを巻き込むダム建設など、CFは福音的提に基づいて、生命に不可欠な財産である水を確保する義務を、すべての人々に目覚めさせようとしています。キリスト教徒にとって水は洗礼の秘蹟による特別な価値をもっています。単なる清めの式であるばかりでなく、キリストと教会に私たちを合体し、神の子として生きるように、また隣人への奉仕の中で兄弟愛に生きるように導きます。その水は、すべての人の命への配慮である神の賜物、共同の尊い遺産です。自然生態、水、土壌、空気をすべて保護する必要性を意味します。
 CFが引き起こそうとしている緊急を要する具休的な行動は、乾燥地帯における雨水を貯水するタンクの設備です。飲料水確保のために800以上の共同体が力を合わせて、100万のタンクを造ろうとしています。四旬節兄弟愛運動を通して、すべての人がこの計画に参加しています。
 最大の拷問は、渇きです。さあ、渇くものは水に近寄れ!(イザヤ55・1)





『ブラジルの四旬節兄弟愛運動』


 1964年からこの道動は始められ今年で40回目となります。毎年、テーマにそったテキストが出版され、記念講演が行なわれます。1970年からは兄弟愛運動が始まる「灰の水曜日」には、テレビやラジオ、新聞を通して国内に教皇様のメッセージが伝えられます。当初この運動は教会の刷新から始まりましたが、キリスト者の刷新、そして社会的な罪悪を告発する現実に目を向けるようになりました。教会は毎年、変えなければならない社会的な現実を指摘して、それにそって祈りの集いで使うテキストを準備しています。
 ミサのための聖歌もその年のテーマによって作曲され、ブラジルの全教会で歌われます。
どこの教会へ行っても同じ聖歌を歌えるので、四旬節兄弟愛運動に参加していることを実感できます。大きなポスターが教会や集会所に貼られ、自動車にはステッカーが貼られます。
 枝の主日には、灰の水曜日に配られた封筒に献金(犠牲してためたもの)を入れ、奉納のときに捧げます。四旬節は回心のとき、恵のときです。祈り、断食、施しに特徴づけられる四旬節、キリストの救いの意義を問われるときでもあります。






『第11回運営委員会議事録』

日時:2003年12月4日(木)18:00〜19:30場所:四谷SJハウス会議室
T.きずな85号について
 今号は海外からの便りおよび写真が少なかったので、8ページにおさめることができたが、少々さびしい紙面となった。
U.きずな86号について
 1)巻頭言はブラジルで長く司牧、宣教をしている松尾繁詞神父にお願いする。
 2)原稿締切りは2月10日、発行は3月1日、発送作業は3月3日(水)の予定。
V.援助審議
 1)西アフリカ、プルキナ・ファソのSr.野間順子(マリアの御心会)から、
シスターが訪問している村の鍛冶屋の青年について、本格的に鍛冶屋の技術を磨かせると同時に村の後輩達に技術を教えていくことを考え、町の技術学校に1年間入る費用(授業料、材料費、宿泊費等)として10万円の援助の申請があったが、検討の結果本人も希望し、将来期待の持てることなので援助を決定した。
 2)フィリピンのSr.今田恵子(三位一体会)から、ルソン島ブルゴスにある小さなカトリック校(小学校、幼稚園)への援助として、 @6年生用に校舎の建て増しをする費用の一部として5000ドル A図書室の書籍、テレビ、ビデオ等の教材や化学実験、調理実習などのための器材購入費として3000ドル B貧困者のための薬品購入費1000ドル C家庭訪問のための活動費(含む交通費)合計1万ドルの申請があったが、検討の結果ABCに対して5000ドルの援助を決定した。
 3)前回保留になっていたペルーの加藤マヌエル神父(フランシスコ会)から出されていた、リマの日系人専用老人ホームで経費負担が困難な3名の入居者の経費(1年分)として5400ドルの件は、再度検討の結果、援助を決定した。
W.その他
 1)海外へカトリックの新聞、雑誌等を送ることについて、発送の経費は事務局各地から送られたカードの一部の経費ですることに決定した。
 2)(社)日本キリスト海外医療協力会(JOCS)の総主事茅根史男氏から、同会から海外に派遣されたチームは世界各地でカトリックの宣教者とともに活動する機会もあると思われるので、同会の活動などを海外へも紹介する場を与えてほしいとの要望があった。
 3)「きずな」の発送が変わり、国内は宅配のメール便を利用しているが、郵便のように定型、25g80円、50g90円という制約がなくなったため、作業もしやすくなったうえ経費も節減されていることが担当者から報告された。同時にメール便は転居先に転送されないので、住所に変更があった場合は速やかに連絡をと、呼びかけることになった。
 4)毎月匿名で会費を送ってくださる方があることが報告され、皆で感謝した。
 5)次回の運営委員会3月10日(水)18:00より四谷SJハウスで行う予定。

各地から送られたカードの一部
各地から送られたカードの一部