『Yさん、逝く!』フランシスコ会 中谷 功
1月に亡くなったYさんについて書きたくなった。男性、67歳。昔昔・山谷地域に住んでいたYさん。ある人との出会いから山谷での生活を抜け出し、生活保護を受けながら暮らし、再び元の生活に戻ることなく、自分の最後を、しっかりと迎えました。
Yさんの特徴;真夜中でも電話をかける。 例えば、「もしもし、元気?なんにも用事ないんだけど。じゃあね。」で一方的に電話を切る。こちらは、ちょうど眠りに入った頃なので、起こされてすごく腹が立つ。でも何故か憎めない。特徴その2;話し出したら止まらないのです。しかし、「今、祈りの時間だから」と言うとぴたりと話を止める。が長くはもたない。私には懐かしい思い出があります。十年ぐらい前のこと。Yさんが新しく部屋を借りたのでそこで感謝のミサをすることになり、参加者はYさん、シスター2人、それに私の4人が集まりました。聖歌を一緒に歌い始めるが、Yさん一人だけは歌詞もメロディーも、どうしても他の3人と違って合わない。私は「まあ、いいか」と思っていたら、なんとYさんは、突然、凄い剣幕で怒り始めたのです。 「あなた方は、シスターや司祭なのに、聖歌をそんなにでたらめに歌うとはどういうことか?。もっとちゃんと歌いなさい!」イヤ、びっくり、参った!。二人のシスターがすかさず「あっ、ごめんなさい。はい、気をつけます。」と答えた。実はYさんは、記憶は字からではなく、耳から覚えるため、少しずつ違っていたのです。シスターはそれを知っていたのです。 そして、「少し違う聖歌」を、堂々と、生き生きと、晴れやかに最後まで歌うのです。 私は、その事でYさんに何も言えなくなりました。正しいかどうかの世界ではなく、Yさん流のひたすらな神への賛美だったからです。 そのYさんの葬儀には「極く少数の参列者」ではありませんでした。主日のミサに負けぬ数の人々が、遠くからも参列したのです。 そして、あれこれと人間臭い思いを混ぜながら、Yさんへの懐かしい思い出を話し合うのでした。Yさんは人々の心に、何か大切なものを、残したのです。 海外で働く宣教者に似たものがあるでしょうか。言葉の不便さ、文化の違いなど、人々と、かみ合わない事が沢山あることでしょう。 言葉や文化の理解は、言うまでもなく大切ですが、所詮、外国人には限界があります。 Yさんは、「実は、そんな事は構わない」と言っているように聞こえます。 宣教者が人々の中で、喜んで、生き生きと、神様を賛美し、人々を敬い、生活の喜びも悲しみも分かち合って、自分の人生を精一杯生きていたら、それは神の喜びを共に味わう「宣教」と思えるのです。 誰であれ、自分のありのままの姿というものは、人間的に言えば、“ぶざま”なことが多いものです。「それでも構わない」、Yさんは、皆と違う歌を歌って笑われたかもしれないけれど、実は、Yさんらしく精一杯神を賛美したことを、多くの人々は感じ取りました。 人々の心に残ったのは「それ」でした。 それは、沢山の人の心を温かくしてくれています。 『会第7回運営委員会議事録』「会」の第7回運営委員会が2002年12月17日(火)午後6曙から東京・四谷のSJハウス会議室で開かれた。本年最後の委員会にあたり、8月31日に帰天された顧問司教・島本 要大司教、9月27日帰天された運営委員の牧野 俊雄氏のために黙祷を捧げて議事に入った。議事 T.顧問司教の依頼について 空席となった「会」の顧問司教には、新潟 教区の佐藤 敬一司教様に依頼することになった。 U.新運営委員の推薦について 新運営委員については推薦されていた成城教会所属の原 のり子さんに決まり、3月の委員会から任にあたることになった。 V.「きずな」81号について @9月に行われた「チャド情勢報告」の講演会の記事のまとめが大変だったとの編集報告があった。記事の細部に若干の訂正個所があったことがシスター天野から指摘、報告された。 A丁合いの際、2カ所がホチキス止めになって納品されたが発送時に「折り」のため時間がかかり過ぎたこと、また、今回から発送手段に「ヤマトメール」便を採用することになったことが報告された。 W.「きずな」82号について @巻頭言は佐藤司教様にお願いする。もし都合がつかない場合は中谷 功神父に依頼する。 A原稿締切りは2月10日、発行は3月1日、発送作業は3月5日(水) X.援助審議 (別項) Y.その他 1.村井神学生の尽力により、「会」のホームページが出来たこと、プロバイダー(ネットサービス)と契約したことが報告された。 2.「宣教者名簿」を改訂発行することになり、年明けから作業を開始する。700部印刷して、宣教者と修道会本部、教区事務所に配布する予定。 3.次回運営委員会は2003年3月18日(火)18時より四谷SJハウスで開催予定。 『援助審議』(1学年30名中10名分で年間1人2万円、3学年分) 決定。 (2)ブラジル・申請者 日高 和子(聖心侍女会) 申請内容:バイア州カェチテ教区における若者と大人のための識字教育で、現在25グループを訪問しているが、その際の車のガソリン代(広範地域のため)及び会場の電気代、教材費等必要経費として、年間2000$(25万円)の申請。 承認。 (3)エチオピア・申請者 片岡 圭子(マリアの宣教者フランシスコ修道会)申請内容:アディス・アベバ市内のAIDS患者訪問看護費用及び薬代の一部として60万円(2003年3月から1年間)の申請があり。 決定。 (4)2002年9月までの援助額は約623万円。 |