『日本から世界へ世界から日本へ』カトリック国際協力委員会秘書 石井芳子
日本から世界各地へ多くの宣教者通が出かけるようになって十年、二十年の歳月がたち、今なお新たに出かける人、帰る人、再出発する人と続いている。こうした「時」を迎えたことは、日本の教会が海外からの宣教者たちによって育てられ、成熟した教会になって来ているしるしでもある。
それは又、第二バチカン公会議で示された「開かれた教会」と呼応して、日本でも海外に向かって「開かれた教会」のひとつの姿を映し出している。それは日本の教会史上かつてなかったことである。 ここにきて海外宣教者は目新しいことではなくなったが、今なお政情不安な地に止り続け、命を危険にさらしながら、共にあろうとする姿は、多くの人々の共感を呼び、人々に勇気と励しを与え続けるであろう。「霊の火」を消してはならない。高齢化を迎える日本の教会が内向きに転じてはならない。更なる飛躍と、信徒の時代と言われる今日、信徒の中からも海外に飛び立つ宣教者が多く輩出する時、日本の教会が本当に「宣教する教会」となるであろう。ここで誤解されないように、海外に行くことが即ち宣教であると言うことではない。ひとつのひな型として教会の使命が写し出されるからである。 ひるがえって、日本の教会は、今、海外から多国籍の兄弟を迎え、国際色豊かな教会になりつつある、各地でインターナショナルデーが催され、方々の教会では多言語のミサが捧げられている。二十年前に誰が今日の日本の教会を想像したであろうか。もはや日本人だけの教会ではなく、神の子である万人のための教会として「開かれた教会」となる時である。 かつてのミッションの地で、仲間だった人々と日本で再会するとは思ってもみなかった。貧しいが故に、生きて行くために祖国を出た兄弟たちの現実は厳しい。日本の社会のもつ様々な矛盾が彼らを圧迫し、時に人権侵害にさらされることも多い。今各地でそうした人々のための支援と連帯の輪が拡がっている。そこにも帰国宣教者の活躍する場がある。彼らのことば、習慣を知り、よき理解者として側に立ち、かけ橋となることができる。 「行く人」「来る人」「帰る人」と様々な出合いは、同じ人間として、兄弟として共に学び、受け入れ、変えられながら、より豊かな「神の国」を証しする新しい時代を迎えていると思う。 二十一世紀を目の前にして、更にボーダレスが進み、グローバリゼーションの時代となるのは必至である。変動の激しい世界の動きを見極めるのは難しいが、今世界が抱えている多くの問題の根にあるものは何であるか問いながら、それに対する方法論を打ち出す研究を進め、日本で、世界で、人々と連帯し行動を起す具体的な福音化を計って行く必要があると痛感している。 二十一世紀、日本にあっても世界にあっても、内的変革が世界の変革へと連動するであろう。そうした日を目指して、今日福音のメッセージを生きたいものである。 (天使の聖母宣教修道女会)
『第六一回役員会報告』「会」の第六一回役員会が、一九九七年六月二十六日(木)午後六時から、東京・四谷の上智大学内・SJハウス会議室で開かれ、次の案件を審議、決定した。
なお、会議に先立ち、ローシャイタ師より、梶川宏師のカトリック移住協議会専務理事、「海外宣教者を支援する会」事務局長の辞任と、「海外宣教者を支援する会」会長・ローシャイタ師の同事務局長兼任が報告された。また、新たに、カトリック国際協力委員会秘書に就任された、シスター石井芳子(天使の聖母宣教修道女会)が紹介された。 次回役員会は、九月二九日(月)午後六時・SJハウスで。 『1996年度・決算報告』
『一九九六年度・事業報告』一九九六年度中の「会」の事業・活動状況は、次の通り。☆役員会=年四回開催(六月二七日、九月二五日、十二月一七日、一九九七年三月一二日)。 ☆援助=一九九六年度中(一九九六年三月〜一九九七年三月)の 「会」の海外宣教地・宣教者への援助は、以下のとおり。 援助総額=一〇、三〇二、四三八円。援助対象地区・件数=ブルキナ・ファソ(二)、チャド(二)、ジンバブエ(一)、アンゴラ(一)、ザイール(一)、エチオピア(一)、コート・ジュボアール(一)、ペルー(二)、チリ(一)、ボリビア(三)、パラグアイ(一)、アルゼンチン(一)、エクアドル(一)、インドネシア(一)、フィリピン(一)、日本(二) 計 一五地区 二二件。 ☆機関誌「きずな」の発行=「きずな」四回発行(五四号・九六・三・一発行、五五号・九六・六・一発行、五六号・九六・九・一発行、五七号・九六・一二・一発行、五八号・九七・三・一・発行)。 ◇レポート掲載地区・件数=韓国(一)、台湾(一)、タイ(六)、フィリピン(五)、アメリカ(二)、カナダ (一)、ブラジル(二二)、パラグアイ(八)、ボリビア(四)、ペルー(六)、ザンビア(一)、アルジェリア(一)、ハイチ(二)、チリ(一)、エチオピア(一)、セネガル (一)、ガーナ(一)、チャド(八)、ローマ(一)、エクアドル(一)、ジンバブエ(一)、ザイール(一)、アラブ首長国連邦(一)、コート・ジュボアトル(一)、サモア(一)、ベニン(一) 計 二八地区八〇レポート。◇「ザ・メッセージ(海外短信)」七四レポート。「エコー」九〇通。 「海外派遣宣教者」一一名を紹介。 ☆その他=◇「世界の国々で、見たこと、聞いたこと、生きたこと」(宣教を考える会・編)の小冊子の頒布に協力◇ニカラグアの女性自立のための施設「希望の家」の女性手作りカードの販売に協力。◇海外宣教者の現地での活躍を取材した放送テープのダビングなど…約二五件。 『一九九七年度・『国際協力の日』九月一四日』一九九七年八月二〇日 カトリック国際協力委員会
『援助決定』(1997.6.26決定分)
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