トップ会報『きずな』56号目次 > 本文
KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES







『宣教者の心』

大阪教区協働大司教 池長 潤

 今年六月の定例司教総会で、国際協力委員会の委員長になるように決められた。
 私としては、みずから海外宣教を志したこともなければ、第三世界と呼ばれるところで、宣教者たちの労苦を見たり、宣教の有様をつぶさに体験させていただく機会を持ったわけではない。しかし、その私にも、太平洋の真中に浮かぶボナペ島で、援助マリア修道会の、シスター方の生活に触れさせていただくことが出来たのが、唯一の例外であった。
 さらに、ブラジルで働く堀江節郎神父や、ネパールで、障害を持つ子供たちのために活動している大木章次郎神父から、直接、話を聞いていると、宣教者たるものの心の奥に潜んでいる、ある秘密に気付いたように思える。
 それは、一言で表現すると、自分自身が「空」であるとでも言えばいいのか。もっとも、どんなに宣教魂に徹した人であっても、隅から隅まで、自分に「空」になりきることは出来ないだろう。しかし、現地で働いておられる姿をうかがうと、何か、この「空」という言葉に響き合うものを感じる。
 ボナペのシスター達から伺った話だが、彼女達が宣教を開始して間もなく、ある別の島にも訪ねてほしいと依頼を受けた。あちらから舟で迎えに来るという。日時と待ち合わせの海岸を約束して、そこで待っていた。ところが、時間が過ぎて、待てども待てども舟は来ない。ついに、その日は暮れ、次の日もそこで待った。そして、なんと3日目に、突如、舟が現われた。
 これを聞いて、よくぞ3日間も待ち続けたと感心した。
 時間感覚が、マイクロネシアの人々と日本では、全く違うのだ。
 また、ある宣教師は、広漠とした大地を、馬に乗って活動したという。また、ある人は、日本を離れて以来、毎日、2食しか摂らず、しかも至って簡単な食事で済ませているという。
 結局、自分が今まで日本で慣れきって暮して来た習慣やリズムやあらゆる感覚などを、どこかに捨て去ってしまわない限り、宣教地にしっかりと根を降ろすことが出来そうにない。
 自分の中に、これまで在ったものを、ここまで、放棄して生きていけるのは、やはり、「空」の心と言っていいのではないか。
 海外宣教者たちにかかわる「海外宣教者を支援する会」と結ばれた、国際協力委員会の仕事をお引き受けすることになったが、分不相応な感じを持ちながら、祈りとともに努力していきたい。






『第57回役員会報告』

 「会」の第57回役員会が、平成8年6月27日血゚後6時から東京・江東区潮h兄の日本カトリック中央協議会会議室で開かれ、次の案件を審議、決定した。
  • 今回、国際協力委員会委員長に就任された、池長潤大阪教区・協働大司教の挨拶。
  • 「きずな」55号について=片山久史神父(札幌教区)の巻頭言に感銘を受けたとの報告があった。
  • 「きずな」56号について=巻頭言は、池島潤大司教に依頼。  発行・9月1日、締切は8月10日。発送は9月4日鰍フ予定。
  • 一九九五年度事業報告。
  • 一九九五年度決算報告(別項)。一九九六年度予算審議。
  • 援助審議(別項)
  • その他  @「海外宣教を考える会」からの、「きずな」に対する、編集や協力などについての話合いA真生会館学習センターからの「宣教者講演会」等の共催、協力についての呼びかけに対し、「会」としては、今後、他のグループとも協力していくことが了承された。
     B衣類発送荷作りのボランティアの要請があり、日時を決めて、有志に依頼することになった。CSr守山陽子、山崎由美子氏の役員辞任を承認。D「宣教を考える会」担当司祭・菊地功神父が随時「会に」出席し、交流をはかることが了承された。
  • 次回役員会は、9月25日(水)の予定。






『援助決定』

 (′96.6.27決定分)
地区援助要請者援助内容援助金額
ブルキナ・ファッソSr黒田小夜子(マリアの宣教者フランシスコ修道会)ドクターの日本留学費800,000円
ザイールSr前川春美(クリスト・ロア宣教修道女会)モーターバイク1台(女性・児童の識字教育、司祭の巡回宣教のため)550,000円(5,000ドル)
チャドSr松山浩子(ショファイユの幼きイエズス修道会)宣教地巡回用自動車代(半額)1.300,000円
ジンバブエSr伊東千秋(ナミュール・ノートルダム修道女会)文房具購入費、女性教育費100,000円
アンゴラSr林節子(マリアの宣教者フランシスコ修道会)発電機(現地シスター夜間教育・無料給食の冷凍庫のため)999,900円(9,090ドル)
インドネシアSr浜谷真佐美(聖母カテキスタ会)青年奨学金、神学生・信徒教育費として220,000円(2,000ドル)
ペルー大橋美智子(信徒宣教者)ビデオ、聖歌集伴奏譜、紙芝居(日系カトリック教会と宣教者のため)54,860円
計 4,024,760円






『95年度援助費、一千万円余』

 「会」の一九九五年度の海外宣教地への援助総額は、一〇、一五三、000円(20件)に達した。
 「会」が発足して以来の援助総額は、一億一、六四五万円余(一九八二年〜一九九五年)に上っている。
1995年度会計報告
入金の部
項目金額
会員寄付金9,943,091
預金利子234,025
前年度繰越金7,682,984
合計17,860,100

出金の部
項目金額
援助金10,153,327
運営経費2,430,350
次期繰越金5,276,423
合計17,860,100