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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES





『アフリカ』

チャド シエラレオネ モーリシャス





『改善されない生活環境』

〜チャド〜
ショファイユの幼きイエズス修道会 永瀬小夜子
…今年のチャドは、例年になく雨量はありましたが、喜んでばかりはおれません。…道路は至る所陥没、畠の種子が、橋が、家が流され、汚水は溝がなく溢れ、汚水の中でコレラ、黄痘、マラリアで…病人が出た、死んだと矢継早です。病院は機能ゼロに近いのに一向に改善されていません。…さて、この国は50%〜60%がイスラム教です。この国では多くのカトリック信者が十字架を身に付けているように、イスラムの人々はグリグリというお守りを身につけています。とくに生まれ時に最大の贈物として受ける習慣があります。
 このところ、このグリグリと十字架を肌身から取り外すことによって救いがある、病も癒されるという教えを説く人が現われたのです。そのグループの人にはまだ出会いませんので、確証はないのですが…、私達の家から歩いて5分くらいの所に、4名の日本人女性が住んでいると人々が教えてくれました。すでに2カ月以上になるらしいですが‥こしの方々はTS教会(の方のようです)。
…宗派を越えてチャドのために働けたらと思わないこともありません。…(今)人々の日がルワンダに集まっているアフリカ情勢なので、チャドで少々残忍な行為があってもニュースにならないそうです。…意識の中に入らないとは云え、民族の宗教抗争、殺し合いの恐ろしさに、…問題の根の深さを見せつけられております。






『今、一番、必要なのは』

ショファイユの幼きイエズス修道会 入江多嘉子
…昨年9月下旬に派遣先チャド共和国に足を踏み入れました。まだ8ヵ月の短い体験ですが私の感じたことを……。
…私の住んでいる地域には、ポンプ付きの井戸が故障して放置されているところがあります。修理が出来ないのです。水は生命の源で、清潔な水を確保することによって病気の罹患率を抑え、寄生虫病の蔓延を防ぐと言われていますが、故障したポンプは、ただの水さえ供給することは出来ないのです。…病気になって薬だけに頼り、予防することを知りません。チャドでは、今年もまた、学年進級の試験が中止になりました。学生たちは、一昨年から始まった政府と教職員の給料をめぐるストのために、三年連続、同じ学年に留まることを余儀なくされています。
 目の前には、貧しくて学校に行きたくても行けない子供たち、治療を受けられない病人たちが沢山居ます。「おなかが空いた」、「寒いから、着る物を頂戴」など、日々、私達はその対応に時間を費やします。「誰が本当に貧しいのか」、「今、一番これを必要としているのは誰か」と自問しながら……(8月15日)






『学制が変る、教員は不足』

〜シエラレオネ〜
御聖体の宣教クララ修道会 根岸美智子
…とうとう、また、シエラレオネに戻って参りました。…ルンサに到着したのは夜10時を過ぎていました。途中はまったく暗闇で…自動車のライトのみが赤土の道を照らし…反乱軍が出て来ませんようにと祈りながら…シスターたちは皆、元気でした。
…シエラレオネでは、昨年より学制が変り、日本と同じ6・3・3制になりました。中学校をJ・S・S、高等学校をS・S・Sと呼伸びます。私はJ・S・Sの責任者だそうですが…今のところ、校長室一つなく、まさに裸一貫からの出発です。…今まで5年生まで学び、卒業試験を受けた生徒は、これからは、中学3年で卒業試験を受け、その成績によって、高校に進むか、職業センターに行くか、あるいは社会に出るか決められます。学校は9月17日から始まるそうです。教師の給料が低いので、なる人が少なく、教員採用に必死です。教師は収入の多い首都に行くことを望み、なかなか、田舎の学校には来てくれません。そこで、今年は、かなり代用教員を頼まなければならないようです。






『イスラム、ヒンズー教徒も福者への巡礼行』

〜モーリシアス〜
マリアの宣教者フランシスコ修道会 桶野香
…先日、援助金を確かに受け取りました。本当にありがとうございました。新保育室のプランは出来ており…出来るだけ早く工事にとりかかって欲しいのですが、何分にもユックリしているところがあり、再三、催促しながら待っているところです。11月半ばから(来年)1月まで、年度末の長い休みがあるので、多分、その間に工事をして貰い、新年度には…新しい保育室で…もう少し充実した保育が出来るかと、楽しみに計画しています。
…9月9日は、福者ジャック・デジレ・ラバルというフランス人宣教者の祝日でした。…彼は聖霊奉侍布教修道女会司祭で、今から百三十年前来島し、とくに奴隷達、被差別者の友、援け手となったのです。
 この祝日は前晩から始まり、福者の遺体の安置されているサント・クロア教会まで歩いて巡礼するならわしになっています。いくつかのミサが夜中続き、翌日も一日中続けられます。巡礼者はカトリック信者のみならず、ヒンズー教徒、イスラム教徒もやって来ます。私も、今年初めて、小教区の青年たちと一緒に、歩く巡礼をしてみました。…予定より少し遅れて出発、はじめの一時間ぐらいは、元気よく歩いたのですが、次第に足が重くなり…ほんの少しの段差にもつまずきそうになりながらも一生懸命歩きました。
 午後5時に出発し、…カテドラルに着いたのが8時、…その後、参加者全員と共に、サント・クロアまで、歌いながら歩くこと一時間半、教会に着いた時は、どこでもいいから座りたいというのが本音でした。…夜風を受けながらの野外ミサ。参加者一同、心と声を合わせて祈り、歌い、素晴らしい一時でした。11時半に終了…帰りはバスで、修院に辿り着いたのは、午前1時半、疲れと眠気もありましたが、すばらしい体験の充実感を味わいながら眠りにつきました。






『南米』

ボリビア ブラジル パラグアイ チリ





『コロニア沖縄入移四十周年』

〜ボリビア〜
扶助者聖母会 山口多香子
…ボリビアの今年の冬は暑くて、日中30度です。日本の夏も猛暑続きだったとか…こちらも旱魃(かんばつ)がひどい地方があって、年がバタバタ死んでいく姿は可哀そうです。…修院でも、しょっちゅう断水です。
…コロニア沖縄は入移(民)40周年を八月十五日に祝いました。
…大きな日本・ボリビア協会々館も建ち…元大統領も来られ、盛大な式典が催されました。あくまでも沖縄的で、舞踊、音楽なども立派で、ボリビアの地でも、民族の誇りが涙ぐましい程に感じられました。(ところで)子供のための絵本をお贈り下さり、本当にありがとうございました。役に立たせて頂いております。
…前に頂きました絵本で紙芝居を作り、スペイン語で子供にやらせて大好評でしたが、今度は…こちらの日系二世の子供に、指人形を全部自分達で作らせ上演したところ、これまた大好評でした。
…手品の本は、すぐ、シスター達が隠し芸として特訓中。皆、大真面目で練習しています。










『新学期、書店は大賑い』

聖パウロ女子修道会 清田光子
…私の不在中に、日本から美しい絵本と内容量かな本が沢山届いておりました。ありがとうございました。こちら、コチャバンバでは、日本人の方にあまりお目にかかりませんが、日本語の読める方に会う良い機会がありましたら、差し上げたいと思っています。
 毎年クリスマス近くになると、現代の貧しい人達が多数、地方から施しを求めて町の方にやって来ます。…私たちは…彼らのために衣類、靴、食物、薬などの必需品を一箱にまとめてプレゼントしております。また、2月〜3月頃にかけての新学期には、教科書や学用品の買えない貧しい人で、毎日私共の書店は大変です。立場上NOと言うことは心苦しいので何かと遣り繰り算段しております。








『通貨切替えで、大混乱…』

〜ブラジル〜
聖母カテキスタ会 深墟光子
…ブラジルのインフレは止まるところを知らず…社会不安も募るばかりです。そちらにもニュースが届いていると思いますが、アロイジオ・ローシャイタ司教様が、人権擁護連動グループと刑務所視察の際、服役者たちの暴動が起り、彼らの逃亡の人質となって、翌日の明け方、やっと…自由の身になったという事件が起りました。
 極限の状態に居た人たちの鬱憤の暴発でしょうか。人間の理性を失った様を目のあたりに見て心が痛みました。…日々起こる犯罪は、もう、珍しくなくなってしまった誘拐事件や現金輸送車襲撃事件など、失業して仕事は欲しいが、命が惜しいので運転手にはなり手がないとか、突破口のない社会問題を生みつづけています。(この項三月二十八日付)…私は現在、神学校に居候していて、神学校の台所の会計をあずかりながら、幼児の司牧に参加しています。
 …自分の生活の足許を見てみますと、(ブラジルでは、通貨が)クロゼイロレアルがレアルに切り替わり、新貨幣の不足で、旧貨幣を併用して使っていますので、その混乱(ぶり)は大変です。サンパウロのような大都会でも(そう)ですから、こちら、アマゾン奥地ではなおさら…。レアルで払って、お釣りがないからクロゼイロで返って来るのです。
…今年のサンパウロ、パラナの南部は、ひどい寒さでした。今、アマゾンに戻って、毎日の猛暑に、ただ、息をしているだけのような私です……。(今)新しいプロジェクトに参加しています。このプロジュクトは、貧しい母親たちに手仕事を教えて、家で内職が出来るように指導していくものです。…まず仕事始めは、死者の日の、造花づくりです。こちらは暑いので、生花は少なく、高価なので、墓参には造花が一般化しています。この後も、洋裁やおやつ作りなど計画はいっぱいですが、なんせこの暑さ、木蔭を見付けては腰を下ろすという状態ですから、なかなか前へ進みません……。






『浮浪…腎臓剔出される人も』

コングレガシオン・ド・ノートルダム 斉藤好枝
…サンパウロの中央部には、沢山の浮浪者やストリート・チルドレンがいますが、ここオザススでも、ちょっと外出すれば路傍に寝ころんでいる人々を目撃します。子供達は学校にも行かず、ダンボール箱をはじめ、廃品をあさり歩き、門毎に食物や衣類を求めて歩いています。中には、腎臓を剔出され〜大きなスーパーのトイレに連れて行かれ、麻酔をかけられて腎臓を剔出され、その後、生存する者もあれば、生命を絶たれる者も居ます〜人間が物扱いにされている社会には言葉もなく、祈るのみです。しかし、最近、心ある人々とサンパウロ市の警察の協力で、子供達を収容する家と食事を与える準備が出来て、百人近くの子供達が救われました。この子供達を教育することが、今後の問題になりますが、指導者が不足していると、サンパウロ新聞に報じられていました。
 私は、今年の始めごろから、市の郊外にある「子供の家」を訪問し始めました。この家には、ストリート・チルドレンが、一人のカテキスタ会員によって引き取られ、附近の貧民街に住む母親遵の協力で、食事の準備がされています。…貧しさに満ちていますが救われた子供達の顔には、愛らしい微笑みが宿っていました。






『成長する日系の子供たち』

長崎純心聖母会 宇田ハツエ
 今日、また、とても楽しいご本が届きました。三部ずつでしたので、一部修道院に、二部を日本語学校に頂きました。
 今日、早速、学校へ持って行きましたところ、とても喜んで最初のクラスの子供たちが、みんな借りて帰りました。きっと、今頃、ご両親と一緒に手品や貼り絵をして楽しんでいることと思います。
先日、被昇天の祝日に、ブラジル語のカテケーゼに行くよう勧めていた、日系のお母様四名と二人の子供が、初聖体と洗礼の恵みを頂きました。私は相変わらず、日本語学校で頑張っています。
 先日、アサイ地区十校のお話大会がありましたが、二十六名の入賞者中十二名は、アモレイラ校の子供たちで、大きな喜びでした。
十一月一日、二日は、十校合同で、絵、作文、書き方などの作品展を行いますので、少しずつ準備しています。
 九月七日、独立記念日に、アモレイラで、パラナの宣教者の集いをやることになり、日本語学校と会館を借りて、日系のお母様方に食事を作って頂くことになりました。アサイのお母様方とも週に一回、聖書の勉強会をやっておりますが、時々、こちらの保育所を訪問して下さり、赤ちゃんの所のクッションカバーを作って下さるとのことで喜んでおります。
(八月三十日)






『レンガを積み、手作りの信徒会館を』

〜パラグアイ〜
聖霊奉侍布教修道女会 林静子
…このたびは、美しい日本のご本を多数お送り下さいましてありがとうございました。…私はお蔭様で元気で、幼稚園と布教に頑張っています。昨年…ご心配をおかけした自動車も、たゞ今のところ、調子よく走っております。イスズの小トラックで、いろいろな荷物も運べるので、田舎向きです。私達のラパス教会も、今年は信者会館(サロン)が完成するところです。建築は毎週土曜日に少しずつ信者さんが、レンガ積みの手伝いをして始めました。材料だけ買って、仕事は奉仕ですから、農閑期は捗どりますが、農繁期には一時中止。婦人連は、土曜日に働く人に、昼食を作る奉仕をしました。
 昨年から始めて、ボツボツですが、今では外側は一応済み、今度は中の作業にかかります。クリスマスまでには完成するかと思います。はじめは、左官の講習会があり、何カ月問がかりで、青年達が左官の仕事の手ほどきを受けました。仕事の指導は専門家がするのですが、毎土曜日、ボランティアの青年達がやって来て、セメントを練ったり、レンガを積みました。大人も青年達も工夫して、いろいろな催しをして、材料を写っお金を稼ぎました。外国からの寄付でなく、自分達の手造りのサロンですから…皆、楽しみにして居ります。私達エルマナは何も出来ませんが、食事に使うマンヂョカというお芋を寄付しました。これは私達の庭の畠で獲れるもので、この国の主食です。






『立ち上る若者の力(MOANI)』

〜チリ〜
カロンデレットの聖ヨゼフ修道会 真木栄子
…ここ(チリ)クルカ教区も小教区も、昨年から始まった新しい形の共同体づくりと、若者たちが若者に呼びかけていくことを通じて、地区の、病気で苦しんでいる人々、孤独な人、また、他の必要性を求めている人々との連帯を築こうとしています。奉仕して働く者は決して多くはないのですが、先週の日曜日には、宣教者として奉仕する若者の派遣式があり、クルカ市の司教座聖堂は、若者でいっぱいになり、彼らの心の健全さ、精神の高さ、そして溢れるばかりのエネルギーに感動しました。…これら、ポプラシオン(低所得者居住地区)の子供たちを世話する若者たちのグループはモアニ(MOANI)と呼ばれ、自分の家と同じ道路に住む子供達の生活全面にわたって、お兄さん、お姉さん役として世話をし、子供たちの成長を助けるグループです。
 ポプラシオンでは、様々な面での貧しさのために、子供達は家庭で放ったらかしにされているのが現状で、若者たち(多くは高校生と勤労者)は、その子供達の家庭内の心配事の相談にのったり、遊び、勉強などの世話をしています。








『アジア』







『幼稚園設置を目指して』

〜インドネシア〜
聖母カテキスタ会 千葉礼子
…こちらの小学校の父兄方より、ぜひ、幼稚園も設置して欲しいという声が高まって、三年前から小学校内の二教室をもって幼稚園が誕生しました。学校の隣り続きも教区の土地になっており、教区からは使用許可は下りており、教育事務所からも認可されているのですが、何といっても先立つものは資金で、四苦八苦しながら貯蓄を始め、目標額の1/3程度の資金は集まっております。しかし、目標額に達するには、まだまだ年数を必要としますし、狭い学校に生徒数は増加という現状で、一日も早く、幼稚園を独立させたいのが、切実な希いです。
…他の学校(メダン市内の)にくらべ、全く貧しかったサント・トーマス小学校も、今では人なみの学校になりました。今年は三人一組になって競う知恵くらべで、三回テレビに出演し、北スマトラで第一位の成績となり、学校挙げての喜びでした。