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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES





『アフリカ』






『手造りパンは町全体の奉献』

〜モロッコ〜
マリアの宣教者フランシスコ修道会 黒川栄子
 …7年住みなれたマラケッシュの町をはなれて、モロッコ東部の小さな町タザに移りました。
1 0年ぐらい前まで教会があり、神父様も居らっしゃいましたが、現在は巡回教会で、週1回、水曜日に、一二〇キロ離れたフェーズという町から、神父様が主日ミサを捧げに来て下さいます。
 参加するのはポーランド人1人、スぺイン人1人、ベルギー人の若いご夫妻と私たち3人(フランス人、ポルトガル人と私)だけです。外人が少なくなったためか、この町の人々からとても信用を受け、愛されていることを感じます。週何回か、知り合いの人がパンを持って来たり、金曜日に、クスクスが届いたり、先日は、12時に、焼きたてのパンが3個届き、ベルの鳴るたびに「あら、また」……こうして頂いたパンと共に、週1回のごミサは、この町全体の、奉献になっております。






『魔女跳梁(ちょうりょう)』

〜チャド〜
ショファイユの幼きイエズス修道会 有園順子
 …今年のチャドは例年より寒さが続き、とくに子供達は寒さに震えています。現在、粟や綿の収穫は終りましたが、もう飢饉が心配さ汲黷トいます。と云いますのは、雨量は充分だったのですが、害虫が発生し、その上、ストリッガ(魔女)といわれる毒草が生え、穀物の成長を妨げて、収穫率は約30%ぐらいでしょうか〜この植物は土地の疲弊している所に生えるもので、ギダリ近辺をはじめ、至る所に見られるようになりました。(土地の疲弊は)それは当然かもしれません。村人たちは耕作するのみで施す肥料もないのですから。
 飢饉々々という前に、その原因を探し、対策を見出して…実施しなければ、チャドの土地は毎年、痩せていくぼかりです。このようなこと(や)井戸、植樹など(について)も、婦人グループに絵で指導しておりますが、広大なサバンナ地帯に居る私の存在は小さなものです。けれども、少しでも…チャドの開花になればと祈りつつ、忍耐して励んで居ります……。






『今日がなけりや明日、明後日があるさ!!』

〜チャド〜
ショファイユの幼きイエズス修道会 永瀬小夜子
 …日本のカレンダー…ありがとうございました。早速、一番見やすい場所に取りつけたところ、祝、祭日の赤数字は何か1の質問攻め。
 チャドの地は、朝方、または夕方に明日は○○によって仕事は休み―″のラジオ放送が入り、やっと祭日が決められます。とくに、ミューズルマンの断食明けなどは、お月様の陰ぐあい等ですから、皆、今日か明日かと、ワイヮイ待っての祝祭日です…。どこどこの大統領を迎えるので道路に並ぶように…で仕事は休み。
 1日か半日しか働かない国なのにーと嘆くのはミッショネール達です。
 「今日がなければ、明日も、あさってもある国」なので幸せです。
 何事かやるために時間を決める、遅れても、誰しもがニコニコして、私たちも「チャド時間」と云って、集まるのを待って(います)。…人に会えば握手…事務所、税関などに入っても全員に握手、(自分の順番が来たときに挨拶したらよいのに)仕事は捗らず、とくに金曜日はミューズルマンの祈りの日、全事務所は12時までとなっているのに、11時40分近くになると、さっさと閉め出される。
 働きたくても、灼けつく太陽の下では働けないのが実情で、働き虫の日本人には忍″の字です。






『タンザニアのルルド』

〜タンザニア〜
カノッサ修道女会 角たか子
 …2月11日、ルルドの祝日に、タンザニアのウガンダに近い山奥で、荘厳なミサが捧げられました。と申しますのは、80年位前に、最初のミッシmナリーが、このMuganaの地を訪れ、教会を建設し、福音宣教が始められ、近くに小学校も建てられました。…この地を最初に訪れた彼らは、水が湧き出るのを見出し、教会から百メートルぐらい離れた所に、聖母マリアに捧げられた礼拝堂を作りました。
 それが今、タンザニアのルルドと言われ、唯一の聖母マリアの礼拝堂です。当日は3時間のミサ、祈り、聖歌が捧げられ、多くの土拒シの人が参列致しました。私は残念ながら病院を留守にするわけにいかず参列できませんでしたが、その地、ナキジヨーガから水を持ち帰ってもらい、皆で手を清め、ロザリオの祈を、患者のため、村に居る多くのエイズ患者や、その孤児四〇〇名のために捧げました。
 …今年末か来年に、町から27キロ離れたこの山の中にも、電気が送電されるらしく、今、道路側にその準備がなされつつあり……今は夜7時〜9時の2時間、自家発電がある状態です。
 …12月の会議で配慮して頂いたNWANZAのカテケーシスグループへの援助は大変革ばれ…グループは…生徒対象の黙想会を計画し…援助頂いた紙、聖書などを購入しすぐに利用されるようで…新しく始まった新学期、皆、夢いっぱい、希望に充ちて、…グループの活動がオープンされたようです。…今年は4月未に名古屋からの青年がNWANZAの町で働き、1月末、私の(居る)町、ブコバにも2名の、JICAの青年、生物教師が着き、セコンダリー・スクールに勤務しています。先日、彼らと会いましたが、元気一杯で、タンザニアで奉仕する意気込みでした。

患者さんとのあいさつに始まるクリニックの朝〜タンザニア〜
患者さんとのあいさつに始まるクリニックの朝〜タンザニア〜






『学資のために、人形づくり』

〜ケニア〜
善き牧者愛徳の聖母修道会 山本慶子
 …ケニアのメルーの書き牧者トレーニングセンターのスタッフとして働きはじめて、もうすぐ2年になります。…私の働くセンターでの対象者は、家庭的、経済的、個人的に困難を持つ人々、とくに女性です。主に、洋裁の国家試験を目指してカリキ:フムが組まれていますが…とくに、カトリックの生徒達の希望者には、カテケージスの方法を教え、週末にそれぞれの教会、プレイヤーハウスで日曜学校などの先生として活躍し、長老リーダーの方々から「何処で習ったの〜」と、驚きと同時に大変喜ばれています(彼女らは殆ど、小学校卒です)。今年(の生徒)も、47名のうち、3名のシングル・マザー、自分の誕生日を知らない子、時計の読み方を知らない子、掛け算が出来ない子など、さまざまです。
 …今年の一つの新しい試み(として)は、ワーク・ショップを開きました。タオルかけのアフリカ人形を作っています。週末に貧しい子供達(現在11名)が来て、それぞれが部分仕事をします。彼らの賃金は、とりあえず、日本の皆様からの寄付金で賄い、彼らの学資になっております。一個75シリング(百円=22シリング)で売って、年間九百個売れたら、彼らの来年度の学資と、センターのワーカーの一年分の給料になると、小さな夢を描いて…人形の買手を探しているところです。

片道2時間半かかって家庭訪問〜ケニア〜
片道2時間半かかって家庭訪問〜ケニア〜






『南米』






『自動車、コピー機、健在です』

〜パラグアイ〜
聖霊奉侍布教修道女会 林静子
 …「きずな」も10歳になったそうで、おめでとうございます。
 4年半前に…皆様からの援助で買い求めましたトヨタの小トラックも、もう14万キロも走り、時々、部品を取り換えながらも元気に走っております。2年前に、やはり、援助で購入出来たコピー機も、よく働いております。
 ここに来てはじめた私たちの幼稚園も、今年20回目の卒園式をいたしました。20周年記念に、卒園生名簿を作成しました。農協の職員の方がワープロで名簿を作って下さったので、それをコピーして製本しました。自動車もコピー機も、おかげさまで、大変重宝して使わせて頂いております。……今年は一四九二年にアメリカが発見されて、カトリックの宣教が始まってちょうど五百年になります。それで、宣教も再布教ということで、各地でいろいろな行事が催されております。カトリックの国と云っても、実際に教理を知らない人が大半で、新しい福音宣教が叫ばれて居ります。パラグアイも3年前の革命で、一応、民主々義政治になりましたが、インディオの人々の問題、農地改革など、理想と現実が噛み合わず、教会は、いつも貧しい人々の味方になって、声なき人々を助けております。

300年前の宣教地「三位一体の遺跡」で遠足の記念鴇影 〜パラグアイ〜
300年前の宣教地「三位一体の遺跡」で遠足の記念鴇影 〜パラグアイ〜






『ひとつ、日本で稼ぐか…だが?』

〜パラグアイ〜
聖ドミニコ女子修道会 中村節子
 ……こちらに来てから6年日に入ります。パラグアイの日本人移住地での…農業は主に大豆です。今、刈入れに入りましたが…雨が降り続き、少し心配しているところです。同じ移住地内でも、パラグアイ人は綿畑、トウモロコシ等の作物ですが、非常に取り入れが悪く、今年はそのために治安も悪くなるのではないかと話しています。
 用心にこしたことはありませんが、共に生きるこの地ですから、平和の中に過したいと思っています。
 「平和」と云えば、教会の建物に似合わない大きな鐘楼の鐘(2年ほど前に主任神父のお母様がお送り下さった鐘)が、毎朝6時・昼12時、夕方6時にお告げ″を知らせています。風向きによっては移住地の奥まで鳴り響いているようです。皆さんは、これを平和の鐘″と云って、殆ど、私が鳴らしています。3月1日から、夏時間になり、1時間おそくなったのに(私が)1つの時計だけ直さなかったため、間違って、5時に高々と鳴り、皆さんをあわてさせたようなこともありました。…新聞にもよく出ていますが、こちらからの出稼ぎ…が後を絶たず…パラグアイからの方たちは…収入への道をはげんでいるようです。でも、日系の若者たちは、収入の良い・・道を選ぶ傾向のみ強く、勉強がイヤになったから、日本に行って働けばイインダとか、収穫が悪いから、ひとつ、日本に行くか…と一つの逃げ道にもなっているようで、日系人青年達の20年、25年先を憂う人達もいます。






『アニメ絵本に目を輝かす子どもたち』

〜ブラジル〜
コングレガシオン・ド・ノートルダム 斉藤好枝
 …この度は、子供達に沢山の世界名作物語のアニメ・ブックをお贈り下さり、子供達は云うまでもなく、天から降って来たように、日本語授業のすばらしい資料を与えられましたことを本当に嬉しく、感謝しております。お蔭様で、なかなか読書に親しめなかった子供達も、目を輝かして美しい絵に見入り、大きく読みやすい字を喜んで読んでくれるようになりました。中には、お母様やおばあ様も読みたいので貸して下さいませんか−と云って来る子供も居ります。
 私も童心に帰って、時としては涙ぐみながら読ませて頂いております。…暮から新年にかけて、管区長代理・Sr柴田が当地を訪問…その報告の結果、これから少しずつ、日本から姉妹を送って頂けることになりましたので、目下、その場所を探しております。
 冬体中、堀江神父様はじめイエズス会の神父様方が使徒活動に活躍しておられるジョン・ペソワに参る機会に恵まれました。
 …傾きかけた土壁の家屋の中で、雨風の強い日は不眠の夜を明かさなければならない人々…貧しい子供達に接していられる司祭…子供達に唯一の憩いの場、地上の天国を与えられ…家へ帰る時間になっても、帰りたくないので泣きわめく幼女が居ました。
 「食べられないから食生活改善ない」
 …婦人方の集まりで食生活改善の話を致しましたが、「買うお金がないから食べられません」という声に私の心は針を刺されたような痛みを感じました。飢えている人々には、満腹することが先決問題であった、戦前、戦後の日本を思い出し(ました)。

折り紙を習う子供たち〜ブラジル〜
折り紙を習う子供たち〜ブラジル〜






『摂理の支援金』

〜ペルー〜
フランシスコ会 マヌエル加藤神父
 …私はここ2年間、年齢も忘れてエンマヌエル・ホームと医療センターの完成と設備のために飛び回っていたため体調を崩し、(昨年)10月には持病の痔の手術、今年の正月頃、酷い下痢に悩まされ、一時はコレラに罷ったのではないかと心配致しました。…検査の結果、ストレスが原因の慢性胃炎でした。やれやれと思っていたら、今度は結膜炎を起こし…ようやく治りましたが、まだちょつと後遺症が残っています。…後の2つの病気は、リマの現在の衛生事情と環境の汚染度を示していると思います。一昨年、日本の…皆様の協力によって医療センターの建物は全部完成し、いま、とくに検査に必要な道具を揃えています。この貧しい地区には、いろいろな病気が発生、カナダから中古のレントゲンを送ってもらい、それに必要な器具も探しています。これが揃えば、この医療センターの目的が果せる必要な専門が揃うと思います。今でも毎日60人から和人の患者が訪れています。…経済の面は、ドルの価値は低い…物価は高く、みな悲鳴を上げています。エンマヌエル・ホームも例外ではありません。毎月四〇〇〇ドル〜五〇〇〇ドル使っています。…国内で集める金額は千五百ドル以下です。…その最中に「支援する会」から届いた金…文字どおり、天から摂理的に届いたお金だと信じています。
 …フジモリ大統領は…ペルーの新しいイメージを打ち出し、ペルーを建て直そうと努力致しており…そのため、インフレは4%以下に抑えましたが、他の結果はあまり見えません。7割の国民は依然、貧しさを余儀なくされ、失業者は10%以上…治安も最低です。泥棒…テロ…殺人…建物爆破…正直云って、難しい時を過しております。