『切実な、識字教育』マリアの宣教者フランシスコ修道会 朝倉信江
「国際識字年」が始まってから、早や半年経ちました。
もし、私が日本に居たら、これをどのように受け止め、どのように応えたでしょうか。 読み書きが出来ない人たちの率は60%、しかも、人口の50%余が20歳未満の青少年で占める国、モロッコに派遣されている私には、この「識字教育」は切実な問題です。 私が働いているタジダ村には、子供が七人も八人も居る家庭が多く、就学させようとしたら、男の子を優先します。それも、一人か二人です。新学年度に必要な教材費が出せないからです。 田舎で、読み書きの出来ない女子の率は一番高く、97%余が示すように、私どもの洋裁教室、編物教室に来る八歳から四十歳の女性たちも、全員、読み書きが出来ません。自分の名前も書けません。 一センチ、二センチも分りませんから、指一本の幅、二本の幅と示して教えています。 町では、夜間学級を設けて識字教育に熱を入れましたが、挫折する者が多く、見学に行ったセンターには、六月初旬、一人の出席者も居ませんでした。 「識字教育は、単に、読み書きの技術の習得ではないと考えています。真の意味での、社会参加への道であると思います。 文字を識ることによって視野が拡められ、自分の「社会」が広くなり、新しい可能性が生まれて来ます。自己の開発と自由につなが射るものです。 十月から私も、主婦、女子青少年を対象に、この村で識字教育を始める予定です。 始める…と云っても、現地の方が直接指導され、指導する者、指導される看が、共にこの運動を推進していけるよう、私はお手伝いするだけです。 「識字年」は、この一年で終らせるものではなく、終についた、識字教育を続けることにこそ、意義があると思うからです。 直接、宣教の出来ないイスラム教国にある私には、このような手助けが、ヨハネ・パウロ2世のお言葉「二千年の福音宣教は、より人間的、より連帯的、より正義にかなう社会の構築にある」に応える「宣教」であると確信しています。 少女たちの編物教室(モロッコ)Sr朝倉 読み書きを習う少女たち(モロッコ)Sr朝倉 『第33回役員会報告』「海外宣教者を支援する会」の第33回役員会が、一九九〇年六月二十九日午後六時から中央協議会々議室で開かれ、次の案件を審議、決定した。
『海外宣教者を支援する会一九八九年度決算報告』(一九九〇年三月三十一日現在)*単位‥円 入金の部 会員寄付金 一一、五二五、五〇三 預け金利子 九四八、三八四 前年度繰越金 一五、七一〇、二四二 合計 二八、一八四、一二九 支出の部 援助費 六、五八二、五六八(二五件) 研修費 二六三、〇八二(帰国宣教者による講演会) 運営経費 二、二九四、〇〇六(きずな発行・広報・通信・会議費等を含む) 援助基金積立 二、〇〇〇、〇〇〇 合計 一一、一三九、六五六 次年度繰越金 一七、〇四四、四七二 『一九八九年度事業報告』『新派遣宣教者のご紹介』キリストイエズスの宣教会 Sr渡辺栄子 〜フィリピン・ミンダナオへ〜 『援助決定』(1990年6月29日決定分)
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