『ザ・メッセージ』(海外短信) (敬称略)
『ECHO』(香川県・善通寺市・高橋二美)
『金持ち日本は何をすべきか』海外宣教者を支援する会 近江渉
今から約一五〇年前、イギリスの経済学者マルサスは、その著書「人口の原理」の中で、人口の増加と食糧の増加が追いつかないことを指摘した。農業技術が進歩しても、食糧生産の増大には自ら限界がある。発展途上国では、人口爆発が起り、多くの人が飢えに苦しんでいる現実を、海外から帰朝される宣教者達は、異口同音に訴えておられる。所謂「南北問題」即ち、貧富の格差改革が提唱されて久しいが、経済大国となった今日も「困っている時の助け合い」運動となると、日本はクールな国であると、他国から見られているようだ。高度経済成長時代は、金儲けに専念のあまり、東南アジア諸国からエコノミアクアニマルと非難され、経済大国にのし上った今は、欧米先進国、就中、友邦国アメリカからも独善的と批判され、文字通り四面楚歌の状態だ。メキシコ大地震の時、また、エチオピア飢饉の時のように、いち早く救援隊を送りこむのは、常に欧米先進国で、東洋の経済大国日本は、マスコミに催促されて動き出すことが多い…儲けるには敏感で、施すには鈍感では、憎まれるのが当然だ。施すどころか、国内では豊田商法のように弱い老人の財産を騙しとる商売が、後を断たない情けない今日、この頃である。
経済大国日本が、精神文明没落国への道へ下落せぬよう、皆で考えよう。幼少の頃から、親に手をひかれて教会へ通う習慣のある欧米諸国にとって、日本を理解するのは難しいようである。 勿論、戦後の廃墟から立ち上り、今日の繁栄を築きあげたことは日本人の努力であり、誇るべきであり、他国からも絶讃と羨望の眼で見られているのは事実である。しかし、恵まれた人は貧しい人に援助の手を差しのべることが当然とするのが、欧米諸国の考え方である。わが国でもカトリックで、このようなボランティア活動をしているのがきずな≠ナあり、その主旨に賛同する会員が、年々増加していることは、金儲け主義の氾濫する世相の中で、心あたたまる思いがする。「きずな」が誕生して、五年を迎えるとのことだが、私はまだ入会一年半で、委員の中では一番のニーーフェイスである。 常日頃、マスコミで飢餓に苦しむ人々の報道をみる度に、恵まれない人に施すことは、今や、戦時中・戦後とは比較にならぬ程豊かな環境にある我々の義務であり、また、神の御旨に沿うものであると考えている。唯、発展途上国に対する善意の援助金や物資が、貧民の手許に届かず、当該国政府役人が横領するケースも多々あるようだ。また、現地では、輸送トラックの走る道路もないため、折角の救援物資が滞る心配もある。しかし、その不安は「きずな」には全くない。すべて、永年、現地で活躍している邦人宣教者の手を通して、援助が行なわれるからだ。経済大国となった日本の豊かさを捨て、僻地で貧しい生活に堪え、宣教をしておられる宣教者の犠牲とは、到底比較すべくもないが、私も「きずな」の一委員として、少しでも、援助に微力を貢献することが出来れば、残された人生の大きな生き甲斐である。 会員総数一、四二八名(法人・個人合計・87・11・1現在) 『編集後記』「クリスマス特集号」として21号をお届けします。「会」にとって意義ある5年目の最後の号が、16ページという、大作になりましたのも、ひとえに皆様方の梼橡的なご協力によるものと、編集部一同感謝致しております。 各地からのレポートの際、写真を添えて頂くと、より一層、現地の実状を理解するのに役立ちますので是非(写真はできるだけあかるく撮っているものを(くらいと印刷の時、まっ黒になるので)。 会員相互の交流に欠かせない「エコー」欄への国内外からのお便りもお寄せ下さい。 それぞれの地で、主の恩寵のうちに、いますように……。 お迎えになるそれぞれのクリスマスが、豊かなそして、新しい年への新たな希望を与えて下さ(山鳥) |