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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES





『アフリカ』






『母語の学習に苦労!!』

〜ガーナ〜
神言会 菊地功
 …北部での研修会を終えて、私はコロポ語を勉強するため、また、アセセワに戻って来ました。……私の耳には同じに聞える単語でも、コロポでは…母音の違いなどで全く意味が変ったりすることがあります。果して六カ月で、本当に使い物になるコロポを身につけれるでしょうか。もっとも…英語が出来れば支障―まないように見えます。
 しかし…やはり本音を語る人々に耳を傾けるため、彼らの母語である言葉を知らなければ、神父は勤まりません。と意気込むものの、頭と耳と口が、なかなかついて行きません。
 …10月の半ばに、このコロポ部族の大きなお祭りがありました。
 三日間にわたるそのお祭りは「クマイエム」と呼ばれ、先祖の墓参りではじまり、大骨長の下に各地区のチーフがl堂に会する最終日の集会が中心となりますが、一般のコロボ族の人にとっては、二日目のコロボ山ハイキンクも祭の重要な部分です。…この山は彼らにとって故郷であって、毎年一回、この時期に山に登り、祖先の霊に祈りを捧げるのです。私も一緒に登りに行きました。それ程高い山ではありませんが、ハイキンクと称するには、ちと勾配がさつい。
そこを多くの人が裸足で駈け上って行く。山の民です。
 …ガーナに来る前は、マラリアだ、黄熱だと病気ばかり心配していましたが、実際の大敵は交通事故のようです。先日も近くで、一度に12人も亡くなる事故がありました。…10月が日、はるかトーゴまで続く大平原の中、パトール(BATOR)の町近くで「神言全島場」の潅漑設備完成式がありました。この地区は水が乏しく、広大な土地が草原として手つかずにおかれており、食糧も他の地区に頼っています。そこで、土地の有効利用に貢献しようと、ドイツ人のブラザーが中心となり、数年前から整備を進めていたものです。
 当日は、土地を提供して、酋長やクイーンマザー(マーケットの支配者)が出席しました。
 この農場が自己満足に終らず、本当に人々を助けうるには、押しつけや、逆に搾取を生み出す援助でなく、本当に、この国の人のためになる援助とは何かを我々が考えて、実践して行かなくてはならないでしょう…。






『兄が生きた方″を正しく評価』

〜ブルキナ・ファソ〜
マリアの宣教者フランシスコ修道会 黒田小夜子
 日本を発って以来、一度もお便りせず、お恥しい次第です。
…梶川神父様がブルキナ・ファソに来られた時は、私は原地語を習いにMAC【に行っていました。後(で)Srクララ谷口から、私の働いている病院も訪問して下さった事を伺いました。
 今回、御礼申し上げるのは、どういうチャンスか、広島に住む兄の所に、梶川神父様から今アフリカに生きる≠ニいう本が送られて(来て)、その兄から私のところに「すばらしい生き方だ」と好評を書いて来ました。私の名前も出ていたということで、私のしていることを、少し、正しく認識したようです。彼は世界中、あちこち出張するので、海外ミッショナリイの生き方に感動したのだと思います。私の家族は神道で、昨年、兄の娘がはじめてノートルダム清心への入学を試みただけです。…敦谷口が帰国してFMMは一人ですが、あまり遠くない所に激野間順子さん(*マリアの御心会)がいます。時々、会って日本語で励まし合っています…。
87・2・14






『本当のサマリア人』

レデンプトール会 ガブリエル・ブドロー神父
 こちら(ブルキナ・ファソ)はどのようにしてクリスマスを祝うかを、子供のように期待していました。……町では何もしなかった。
 デコレーションも音楽もセーズも。…別日10時、教会はいっぱいです。きっと、千人以上です。
 始めにご降たんのヌーフィド、11時からミサが始まりました。司教はじめ五人でミサをささげました。四十人の赤ん坊の洗礼がありました。缶日の朝7時に、またミサのために出かけました。……デコポコ道で一五〇キロのところでした。ダムを作っているカナダ人のためでした。夕方帰る途中、車が急にとまった。いくらやっても、小さなスズキ″は動かない、ガソリンがなくなっていた。
 …おじさんはオートバイで(ガソリン)をとりに出かけ…なかなか帰って来ない…もう暗くなり…町まで35キロ…歩くと5〜6時間…または車の中で寝なきゃ…。(おじさん)は3時間たってから帰って来た。…20キロのところまで行って……4リットルのガソリンをもって、暗やみと佗こりの中で…亜キロ走りました。本当のサマリア人でした。
昭和62年1月10日








『図書館に若者が殺到』

〜コンゴ〜
マリアの宣教者フランシスコ修道会 高木良子
 …今日は、私の図書館での…様子を少し書きます。私は小教区の図書の貸し出しをしています。小教区といっても、図書館のものは、私の属している修道会がこの教区のために開放しているのです。
 国自体(が)まだ若く、学問したい青年たちが沢山居ます。しかし、物質的に、また、精神的にもまだ貧しい国ですので、本が手に入り難く…図書館…(は)、若者の重要な場になっています。週三回の開館には、主に高校生、大学生がそれぞれ時間をみつけて駆けこんで来ます。しかし、しばしば、学校で要求される本、つまり、専門書を見付けることが出来ないでいます。コンゴは共通語に、フランス語が使用され、私達はフランスやカナダに必要な本を送って下さるよう願っています。今年は中学生層がどっと押し寄せて来るようになり、彼らが本に興味を持つのを見て喜んでいます。
 将来、この国を担う若・者たちだけに多くのことを学んで欲しいと願っています……。






『カレンダーは奪い合い?』

〜マダガスカル〜
マリアの御心会 中村洋子
 …2月3日、カレンダーが届きました。こちらにはカレンダーというものがなく、大変不自由な思いをしていた折ゆえ、皆が私のところへ下さいと大変な騒ぎでした。とくに美しい景色というのはマダガスカル人は大好きです。最終的にノヴィシアにプレゼントとしました。今年2月に二人の入会、ポストラント五人、アスピラント多数…ヨーロッパの状況から云えば多いということですが、すべて、何これからの国です。政治を中心として多くの問題を抱えている国です。しかし、政治とばかり云っていられないのが、65%が缶歳以下という人口、若い人々の教育は今、必須、一年遅れれば、それだけ長く、この泥沼から脱け出られないわけですから。
 …大きな大地、山、海の地下資源に恵まれ、気候にも恵まれ、何が貧しいのか…。歴史的資料があまりないので分りませんが、植民地の良い所は殆ど残っていません。悪い面ばかりが表に出ていることそれに…たゞ、物、古着などをあげる、その場しのぎの奉仕が国民をくさらせ、怠けものにさせている…オー、かわいそう〜といっては物をあげ、その人カの独立、自立ということを考えなかったように思えます…それを思うにつけ、教育、教育と思います。






『北米』






『バンクーバー昨今……』

〜カナダ〜
クリスト・ロア宣教修道女会 石川康子
 …こちらバンクーバーの近況をお知らせ致します。いたって少数の日本人のカトリック者のために、年に、二〜三回の集いがあります。
 ……アトーメント会のシスター藤沢様ご姉妹が、バンクーバー生れということもあり、男子アトーメント会も所在するところから、両国語あ出来る司祭を交えて、待降節、四旬節、新年顔合せ会といった撥会に告解、あるいは出身地の教会の思い出話に花を咲かせたり、点在する信者さんに交流の輪を拡げようという目的があるようですが。…広い土地柄、中々、思った程は集まらず、25人〜30人ぐらいでとまります。…こちらに参り…三年になりつつあります。…バンクーバーは、種々の民族で成り立っていて、貧しい人、国のない人、家のない人、職のない人で一杯です。より良い住家を探し求めても、こちらの法律と移住者とがマッチしなければ…要求は満たされませんので、アトーメント会の炊き出しに、毎日、七盲人が、一日一飯で飢を満たしています……カトリックの信者さん方には、フードバンクという機関を作って、お金、食品を、ヴィンセンシオ会から衣類など、また救世軍などの慈善バザーの持ち寄り寄付など、キリストの聖国の拡張に各宗派それなりに働きかけています。
3・31






『南米』






『日系一世のために君が代も…』

〜メキシコ〜
三位一体聖体宣教修道会 弓野志摩子
 …はじめて日本を離れて、メキシコ人ばかりの中の、たった一人の日本人として暮しておりますと、思いがけないところで、思いがけない苦労にぶつかるものですが、その度ごとに、私を取り巻く人々を通して、露のように降る神様の愛を感じさせて頂いております。
 …私はボリビアに行く予定で日本を出発しましたが、メキシコで、南米の生活をする前に、少し語学と習慣と気候に馴れてからポリビアに行くようにということになり、ここに留っております。
…メキシコ市内に、イエズス会のパドレ・エスカラダがいらっしゃり、日本人のお世話をよくして下さっております。上智大で働かれたことがあるそうで、日本語を、とても流暢に話されます。
 サン・イグナチオ教会では、日曜午前九時と十時に日本人信者が来ることが多いのでミサ典文の一部が日本語で唱えられミサ中のオルガンの曲も日本の曲を用いています。君が代が演奏されていたのには少し驚ろきましたが、日系一世の心を思ってのことなのでしょうと思いました。……





『ひたすら故郷を想う一世たち』

〜ブラジル〜
松本稔
 …ここ(ベレン)はカトリック国だけに教会も多く、しかも立派なものばかりです。教会で祈る人達の姿も熱心で、この中で共に祈れるのは嬉しいことです。このような中にありながら、日系の人達は、洗礼だけ受けて教会から遠い人たちが多いです。…これまで十年近くでしょうか、シスター石井とシスター斉藤の働きのおかげで、多くの人達が教会に集まり、豊かな信仰生活を送っています。
…私もその方々の中で大切にされながら、その方亮の協力を得て、老人、病人訪問をしています。これまで、一世たちは働きに働いて、立派な家を建て、生活も安定していて、家族からも大切にされていますが、日中は一人で立派な家の中で留守番をしているお年寄りも多いです。その方々は仕事の大変さも子育ても終って、暇になったら故郷のことばかりを考えているのだそうです。人間のルーツへの愛着はすごいものです。きっと、天の故郷を慕う心が、その中に大きくあるのだと思います。神様が、そのあこがれに応えて下さることを期待しながら、小さな仕事ですけど続けて行きます。
 …日本の皆様が、いつも暖かく見守っていて下さることは大変嬉しく、心強いものです。






『花嫁は、白い馬に乗って…』

〜パラグアイ〜
聖霊奉侍布教修道女会 林静子
 …私の住んでおりますラパス地区の教会も、昨年九月二十九日に献堂式が済みましたので、今年のお正月は締麗な教会でお祝いをいたしました。…一月一日には二十キロぐらい離れた田舎の人達が、トラククーに乗って結婚式にやって参りました。…田舎の方の人力は、トランクの中に衣裳を入れてやって参り、私達の家で着替えます。
 トラククーはまだよい方で、雨の中を馬に乗ってやって来ることもあります。お嫁さんは白い馬で、他の人は黒い鳥に乗って来ることもあります。こんな風景は日本では見られないと思います。
 …生れて始めてネクタイをしめるお婿さんも居り、他の人が手伝ってあげる……光景などほゝえましく思います。…(1・2)






『電気、レンガの家、水道も』

〜パラグアイ〜
聖霊奉侍布教修道女会 上杉もと
 …(パラクアイ)ピラポは移住27年目となり、電気も入り、人々も落着き、バラック建の家力も少しづつレンガ造りに建て直しているようで、JICAも今年は各家に水道をーなどと嬉しいブランを発表しています。昨年から、気候も農産物にとても良いお天気で小麦も大豆も、この分では豊作と喜んでおります。移住地の方々は本当に勤勉で律義深く、親切で、いろいろな面で私どもシスターを助けて下さいますので、有難いことと感謝でございます。
 …一昨日、昨日と二日間、幼稚園の屋根が老朽化したためPTAのお父さん方60人もお弁当持参の労働奉仕でございました。…(2・15)






『贈られたコピー機が大活躍』

〜パラグアイ〜
聖霊奉侍布教修道女会 金永松子
 ……昨年、一時帰国の際頂きました御芳志、本当にありがとうございました。お蔭様でコピー機を求めることが出来ました。日本製品の「ミサ式」のコピー機で、とてもよいものです。カラーコピーも出来るように小さな備品もつけてありました。…日本と同じように、運んでくれた撥株屋さんが、詳しく使い方を説明し、実地(指導)もさせてくれ、その上、月一回ぐらいは点検に回るとのこと、まるで考えもしないサービスに驚いたりしながら、始めてのコピーは、月一回の日本語ミサのために、日系人の信者さんのために、聖書と典礼の主要部のコピーと信者総会のための会計報告でした。…今はまだ、こちらは夏休みですが、幼稚園、学校が始まりましたら、このコピーは皆さまの愛をこめて、どんなに活躍してくれますでしょうと、私どもの小さな共同体のシスター方も、喜びのうちに感謝を捧げております。…同封の写真は、喜びのうちにコピーをしているところでございます。(2・10)








『ヨーロッパ』






『シチリアで……』

〜イタリア〜
御聖体の宣教クララ修道会 服部美津江
 …私は現在、イタリアのシチリアに来ております。主な仕事は、一人住いの老人、病気で苦しむ人が多く、週何回か訪ねたり、時々、ご聖体をお持ちし、勇気づけ、話し相手になったり、集まって来る人々とロザリオを祈ったり…しております。…皆様方のお祈りに支えられ、元気で、聖パウロの言葉につけ加えて、宣教者の足は大きい、そして強いと…堅い石造りの大昔の階段を登り降り、坂道を元気よく歩いて…います。






『アジア』






『人々の善意で、聖堂が完成』

〜フィリピン〜
御受難修道女会 松田翠
 …昨年八月には聖堂建設と修院の増築のための援助金を寛大にお送り下さり、本当に有難うございました。このように援助して頂くことによって、皆さまとのつながりが深まり、日本人であること、また、日本人一人一人をどれだけ誇りとして感じたことでしょう。
 沢山の善意ある親切な日本人の皆様が、物質的に豊かになった日本という国の、安楽さに腰を据えて、その安楽さと便利さの中で楽しんでしまう代りに、海外で働く宣教師が接している人力に思いを馳せて、皆様の豊かさを分ち与えて下さり、こうした人々に愛と理解の輪を拡げていて下さることを知って、大変嬉しく存じます。
 日本人のこうした一人一人の善意が、ひいては日本という国を外国に紹介する上で、どんなに大切か、外国で十年あまり生活し、人々の中で人力の思いを自分の思いにしながら生きていく時、つくづく感じます。現在ミンダナオ島では、回教徒の反遊軍が暴力を振い、市役所など四カ所を破壊し…政府軍との間に戦いが起っていますが、いまのところ、私ども一般の市民の生活には、あまり影響がないようです。聖堂建設のためには、沢山の善意のある方亮が何らかの仕方で御協力下さり、その中には、国際的に有名な建築家の、マヌエル・チュー氏が、教会に対する奉仕のしるしとして、全くただで、図面作成から完成に至るまでの監督に当って下さり…美しい聖堂が完成しました。(1・2)






『来年の再会を楽しみに』

〜韓国〜
聖ドミニコ宣教修道女会 大西元子
 …四月ともなれば、春、雪の言葉さえ相応しくありませんが、ここ韓国では三月末日マイナス5度の気温で降った雪が凍り、車も人もすべりながら歩いています。もう大丈夫と思って一冬、家の中で守った植木鉢を外に出した、二、三日あと、この気温で駄目にしてしまい、人の計画と神様の計画は違うと反省している次第です。
…来年は韓国でオリンピック大会があることとて、日本の方々にお目にかかる機会もあろうかと、楽しみにしています。日本在留の、韓国の万力が故郷を訪れた時、貧しい私の韓国語がお役に立つこともあろうかと、生活の言葉を身につけるよう励んでいます。小さな私どもの働きが、心の、世界を結ぶきずな≠フ一端となることを隣いつつ。