トップ会報『きずな』12号目次 > 本文
KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES






『恵みの時が来た』

新潟司教 佐藤敬



 一数年前、フランシスコ会総長がアフリカ・プロジェクトなるものを発表した。世界中の会員の中から宣教師を集め、まとめてアフリカに送りこもうという計画である。私は、日本でその募集に当りながら安心しきっていた。日本も宣教国、改めて宣教師になりたい者など出てくるはずがないと。
 ところが予想に反し、たちまち三名が応募してきた。どうしても日本に残ってほしい三名である。管区長の決定の前には理事会の審査が必要なのだが、それも「よい宣教師になるでしょう」とつれない。「どうして、行ってほしい兄弟が応募しないんだ」と悪態をつきながら、仕方なく総長に推薦した。
 ところが続いて二人が願書を届けてきた。管区にとってかけがえのない二人が。理事会の判断もOK、翌日には推薦状がタイプされ私の机の上にのっていた。あとは私が決心してサイン、投函するだけである。ところがそれができない。「二人の後をどうしよう。もう少し祈ってから。もう少し考えて」と、推薦状は一カ月、机の上にあった。
 今となっては時効だから告白するが、実はもう一人、希望者がいたのである。私は願書を受け取るとすぐ電話に呼び出し取り消させてしまった。「俺の任期はあと十カ月、次の管区長にたのめ」と。
 誰が管区長になっても許可するに違いないとは思っていた。だから自分が許しても同じこと、でもそれに当る勇気がもう私には無かったのである。彼は今、アフリカにいる。
 諸外国の教会が今まで日本にどれだけ多くの宣教師を送ってくれたか分らない。それがどれだけ辛い犠牲の上であったか、あまり考えていなかったと思う。もう一つ考えさせられたことは、神さまの諸外国の教会に求められていた犠牲、日本の教会によじ求められる時封(が来たのではないかということである。
 一九七〇年代は日本教会の歴史の上で、一大転換期になるのではないかと云った人がいる。邦人シスターたちが宣教師として海外にぼつぼつ出はじめたのがこの一〇年の始め。終りの頃には殆んど二〇〇名、もう止めることのできない流れのようである。八〇年代に入り、この流れが男子の修道会にも及ぶかどうか、七〇年代が日本の教会史上、大転換期になるかどうか私には分らない。しかし、日本の教会に、他者のため大きな犠牲が求められる時が来たことは確かだと思っている。
 神が求められる犠牲、神が放っておかれるはずがない。聖パウロは、エルザレムのための醸金を、「恵み」と呼んでいた。犠牲の時が来たというよりも、日本教会にとって「恵みの時」が来たということだ。日本教会の出番はこれからなのだろう。






『第13回役員会報告』

 「会」は、去る7月25日休午後6特から、中央協会議室で役員会を開き、次の案件について、審議、決定した。
@「きずな」11号の編集についての反省と、今後の編集方針についての検討。(12号九月未発行予定等)
A「アフリカの声(仮題)」発行についてアフリカ・アンゴラでゲリラに補われたSr中村寛子(F・M・M)の体験談を中心に、アフリカの各地で働くシスターたちの活動ぶりを伝えるレポートを編集した本を出版すべく、現在、出版社に交渉中であることが報告された。現在判明しているのは約二四〇ページ、12月のクリスマスを目途に出版予定。
B募金状況についての報告一九八五年四月一日以降、現在までの募金状況は約三、〇〇〇、〇〇〇円との報告があった。
C援助要請については審査の結果、次のような援助を決定した。
援助額援助内容援助対象地域
*(1)3,000,000円ブラジル、日伯司牧教会(PANIB)新規印刷機購入代7,768,000円のうちブラジル
30,800「祈りの友(カルメル会)」20冊分(送料とも)ペルー
(約)11,000衣類、文房具の発送・送料(ダンボール25箱)フィリピン4,000、ブラジル(10K)7,000
  • 援助中、*(1)については、残金については、新たに会員等に募金を呼びかけることになった。(別稿)





『ブラジル日伯司牧協会印刷機購入援助』

中村長八神父様が、はじめてブラジルに日本人移住者宣教のために渡られてから60年が経ちました。現在、ブラジルの日系人の人口は百万、カトリック信者はその半数の50万人ともみられています。
 日伯司牧協会(PANIB)は、ブラジル司教協議会(CNBB)の指導の下、一五〇名余りの宣教者が集まって、日本人、日系人への福音宣教に携わっています。
 PANIBでは、そのために事務用オフセット印刷故を使って、日本語、ブラジル語などの幾関紙、典礼のしおり、PANIB通信など24ページ〜46ページの資料などを大量に印刷しております。
 しかし、その印刷椴も故障がちで、今後のブラジルの宣教活動上重大な危撥に直面しています。
 PANIBの試算によりますと、新印刷機と付属品等の購入費は七、七六八、〇〇〇円で、援助要請を受けた「海外宣教者を支援する会」の役員会は、そのうち三、〇〇〇、〇〇〇円を援助することを決めました。その残金である、四、七六八、〇〇〇円、につきましては、PANIB印刷棟購人用と特定して、「会」の会費とは別に、個人、または法人の篤志による基金を募りたいと思います。
 募金の方法は次の通りです。
 ■募金総額四、七六八、〇〇〇円
 ■募金額一口五、〇〇〇円(何口でも結構です。一口数に満たなくとも、貴重なご援助として頂きます)
 ■募金の期限一九八六年(昭和61年)一月までとします。
募金方法同封の振込み用紙をご利用下さい。
(会費とともに、ご送付下さる方は、記事欄にその旨明記して下さい)募金応募宛先〒102東京都千代田区六番町10〜1・カトリック中央協議会内日本カトリック移住協議会・「海外宣教者を支援する会」





『アフリカの声(仮題)発刊へ』

 一昨年12月18日、アフリカ・アンゴラでの内戦にまきこまれ、ゲリラの捕虜となったお中村寛子(FMM)の四カ月間に及ぶ、苦闘の捕虜行進″の記録を中心に、他のチャド、シエラレオーネ、ガーナ、ジンバブエ、タンサニア、ブルキナ・ファソなど、アフリカ各地で宣教に従事しておられる宣教者からのレポートをまとめ、「アフリカの声(仮題)」として発刊する予定です。約二四〇ページの迫真のドキュメントです。クリスマスごろ発刊予定です。