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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES


勉強会

『ブルキナファソでの宣教に学ぶ』

  10月27日午後、聖ヨゼフ修道院ホール(東京・六本木)で、一時帰国中のマリアの宣教者フランシスコ修道会シスター黒田小夜子を囲んで、海外宣教者の活動についての勉強会が開催されました。シスター黒田は12年間西アフリカのブルキナファソで活動され、今回、後任として仕事を引き継いだシスター・イエン・サロメ(同修道女会)を同伴されました。
  先ず、シスター黒田がブルキナファソで、ゼロから立ち上げられたCREN(栄養失調児支援センター)の活動をDVDの映像を見ながら説明がありました。
  CREN(以下センター)はブルキナファソの首都ウワガドゥグの西方360kmにある商業都市ボボジュラソという町で、貧しい者同志が一緒に協力して、作り上げた組織である。貧しい家の幼い子供たちは、栄養失調やマラリアで死にそうになっても、お金がないため病院で治療を受けることができない。そこで先ず、僅かな料金でこの栄養失調児受け入れられる施設を作った。ミルク、砂糖、油などで、やせ細った幼児の体力を回復させ、住民の大半が罹患するマラリアへの免疫力を持たせる。センターの中心はまず台所の仕事であった。そして、医療が第一であるが、その次は教育が大切な活動となる。貧しさのため子供を学校に行かすことができない家庭が多いからである。
  センターは海外からの多くの支援でスタートしたが、それ自身で収入の道を見出さなければならない。痩せて乾ききった土地を手に入れて、少しずつ開墾を始め、主食であるトウモロコシの栽培に取り組んだ。同時に動物を飼うことで自立の可能性を大きくした。養鶏を手始めに、牛も飼い繁殖させていった。卵や肉は蛋白栄養源になるばかりでなく、その一部を売って、現金収入源ともなった。また、その糞尿で堆肥を作ることができ、その肥料で農作物の生産性を向上させた。これらの作業は大変な重労働であるが、すべて子供たちの父母が皆で力を合わせてよく働いている。農場は2か所、併せて20ヘクタールの広さがあり、外国からの支援でトラクターも2台確保。トウモロコシの製粉場も造り、主食の製粉を自分たちでやり、そこから出る糠がまた立派な肥料になる。石けんも自分たちで作っている。何も買わず、何も捨てないという考えで、一応、自給自足体制を作り上げた。
  1996年から12年間の労苦でセンターをやっと軌道に乗せ、マリアの宣教者フランシスコ修道会の精神に沿った事業を立ち上げることができた。その同じ精神でシスター・サロメが私の後を続けてくれている。彼女の本職は看護師であるが、すばらしい管理能力を持ち、この1年半でいろいろな苦労もあったが、自分の経験に基づき責任者としてセンターを立派に運営している。
  以上のような説明のあと、シスター黒田はこれまでの福音宣教活動についての思いを語られました。「先ずはキリストとの出会いがすべてのスタート台であった。キリストの弟子となり、多くの恵みをいただいた。最大の幸せは派遣されたことであり、それは私の所属するマリアの宣教者フランシスコ修道会の目的でもある。派遣され、福音を伝え続ける中で、神との契約が成就される。これまでブルキナファソでどん底まで落ち込み、いろいろな困難とも出会ったが、自分でも不思議に思えるほどの恵みをいただいて、この最も貧しい国で仕事をすることができた。それは神の呼び掛けに耳を澄まし、その声に素直に応え、神と共に歩むことができたからである。修道者でなければできないことに出会え、修道者を本当に必要とする人々と共に生活できたことは幸せなことであった。
  シスター・サロメが滞在中に、日本は豊かさで満ちあふれていて、神様の姿を見るのが難しいのでは、と言った。恵まれた環境の中でもミッションに目覚める人が少しでも増えて欲しい。神の国のヴィジョンを持っていれば、自から貧しい世界への責任を自覚できると思う。それは単に物質的な支援というだけでなく、福音宣教の中で人間関係を深めて行くことでもある。67歳になったが、自分のミッションを確信し、これからもう一度パキスタンに赴くことにしている」。
  この集まりには海外宣教者を支援する会の関係者だけでなく、海外青年協力隊でブルキナファソにおられた若い方々も数名参加され、お茶とお菓子をいただきながら両シスターと共に和やかな一時を過ごしました。

勉強会1  勉強会2
お話しの後でSr黒田・Srサロメとお茶を飲みながら歓談



来訪者

事務局訪問の宣教者の皆様(日付は来訪日)

◎ 2009年10月9日
サレジアン・シスターズ Sr.竹山 敏枝:ボリビア
Sr竹山
  3年にしてこの度、初めての休暇をいただき一時帰国いたしました。早速、事務所を訪問し、援助金の使途(車を購入)についてのご報告と、新たにガソリン代の援助を受け取らせていただきました。心から感謝申し上げます。事務局では八幡様と井上様にお会いすることができ、お話ししているうちに、まるで顔を付き合わせて毎日一緒に働いている仲間のような親近感と、ほっとした心地よさを感じました。なるほど、ここ事務所は金品の援助にとどまらず、海外で働く宣教者の一人ひとりがキリストと深いきずなでつながっているように、信仰においても支えてくださっているのだということを痛感いたしました。どうぞ、今後とも海外で働く宣教者をあたたかく支えくださるようによろしくお願いいたします。

◎ 2009年10月26日
マリア布教修道女会 Sr.川野 恩美:ブラジル
Sr川野
  ブラジルに派遣されて3年、いつも送られて来る「きずな」の、事務所を訪問される方々の言葉を読みながら、私も一度は行ってみたいと思っていたのですが、ついにその念願がかないました。初めてお訪ねしたのに、なんだかずっと昔から知っていた…そんな懐かしい気持ちになるような温かな笑顔で迎えてくださり、とてもうれしかったです。お話ししながら、この事務局が全世界の宣教者たちとつながっていて、支えてくださっているのだと思いながら、優しさの中にも力強さを感じました。
  今年、私の修道会は日本宣教50週年を迎え、その記念する年に郷里の宮崎で終生誓願を立てるという大きな恵をいただき、その準備も兼ねて3か月の予定で帰国しています。12月6日に誓願式、そして13日にはまたブラジルに出発します。私たち海外で働く宣教者を支えてくださっている皆さんの上に、神様からのたくさんの恵がありますように心から感謝を込めて祈っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

◎ 2009年11月1日
マリアの宣教者フランシスコ修道会 Sr.黒田小夜子:パキスタン
Sr黒田
  1981年、ブルキナファソに派遣されるとき、未知の世界へのキリストとの旅出に、不安を交えた喜びで、梶川神父様の派遣セミナーに参加しました。以来28年、時の過ぎるのは早いといえるかもしれませんが、どっしりと実を結んだ歳月だったと思います。その間、早くも梶川神父様は天国に招かれました。私の方は、皆様から応援をいただきましたブキナファソでの「栄養失調児センター」の創立は完成に至り、2008年4月以来、ブルキナファソ人FMMシスターHIEN Salome が責任者に着任して、土着化が進み充実して来ております。
  私は思いがけなく自由の身となって、FMM会長のご理解によってパキスタンに派遣され、今はビザ待ちです。ブルキナファソでの25年間のミッション生活は、私達の世界に人間の子として生まれ、成長されたイエズスが、御父の使命を果たされた33年の人生に見習うことでした。 41歳で全く知らない世界に入り、これから新たに全部学び直しです。身体、メンタリティーの適応の過程は、キリストの体の秘蹟が糧です。神学の具現といえる本当に「不思議な業」に思えます。
  ミッションの経験から一番私が恐れを持って驚きを感じるのは、私がイエズスキリストに誓った修道誓願の契約は必ず成就することを、真実として分からせてくださったことです。イエズスはご自分の望む人達を呼び、自分の元で教育修養を授けられるのは、宣教に遣わすためです。私は宣教生活でキリストの契約は、本気、本当なのだと理解できました。 67歳で再び新しくパキスタンに、キリストから派遣される喜び! この喜びを何とか全てのキリスト者に響かせたいとの思いです。

◎ 2009年11月9日
宮崎カリタス修道女会 Sr.浜崎 和子:ブラジル
Sr浜崎
  初めて事務所を訪れ、八幡さんにお会いしました。 小さな事務所にところ狭しと飾られているさまざまな国の民芸品や写真を見て、この小さな場所からどれだけ多くの人へ愛が届けられているのかを考え、感動で胸が熱くなりました。特に、1人の子供がほほえんでいる写真に、感謝で一杯の自分自身を重ね合わせました。 会の新しい名称「イエスのカリタス修道女会」のシスターとして、皆様のためにお祈りすることをお約束いたします。

◎ 2009年11月13日
礼拝会 Sr.斉藤 クニ子 Sr.星野 美智子:ボリビア
Sr斉藤/星野
  今日は11月13日金曜日、私たち2人にとって、とってとてもよい日でした。久しぶりに「宣教者を支援する会」に寄らせていただきました。事務所の方とも久しぶりの面会で、懐かしい昔話に楽しい思いをいたしました。30年のボリビアでの生活も思い出深く、子供たちから笑顔をなげかけられ、教えられる点も沢山ありました。また、数日後にボリビアに帰ります。どうぞこれからもよろしくお祈りくださいませ。



海外短信

海外短信

  •   一昨日“海外宣教者名簿2009”を受け取り、感謝と喜びに満たされています。まことにありがとうございました。世界に散在する宣教者との絆を重んじて、これほどまでに簡潔に纏め上げられたこの一冊の名簿は、めくるだけでも宣教の絆にひきしめられ、励まされております。母なるカトリック教会の母性愛を具体的に宣教者に伝えておられる「海外宣教者を支援する会」が現世代を生きる教会と社会においてますます発展していきますように、心からお祈り申上げます。
    (イタリア アルバノ 聖パウロ女子修道会 竹内 街子)

  •    この度は海外宣教者名簿をお送りくださいまして、本当にありがとうございます。「あ!まだあの方はいらっしゃる」と、なつかしお名前を見て力づけられております。大変なお仕事に心から感謝申し上げます。外国生活は自分でも知らぬ間に気疲れをしているのでしょうね。「きずな」を読むとき、こちらも勇気づけられ、私も自分で出来ることを出来るだけ行い、イエス様に毎日力を祈り願いながら務めております。今年のヨーロッパ、特にフランスはとても暑い日が続きました。でも、日本のように蒸し暑くないので助かりますが。皆様、十分に体調にお気をつけくださいませ。お互いに祈り合って参りましょう。
    (フランス ドゥランシイ ショファイユの幼きイエズス修道会 堀内 操)

  •   本日、援助金を受領しました。心よりお礼申し上げます。ボリビアは今、なかなか難しい政情の中にあります。今年末に大統領選挙があります。農民の中から選ばれた今の政府は、初めはボリビアを新しく改革するようでしたが、私たちの考えていたのと違った方向に行っているようです。その上、難しいビールス(新型インフルエンザ)の訪問を受けて、何人かの死亡者を出し、小中高学校は閉鎖されました。保育園は母親が働いていて子供を預けるので、閉鎖されていませんが、風邪をひく人が多いです。これは世界的のようですね。どうぞ皆様、くれぐれもお身体をお大切に。
    (ボリビア サンタクルス 礼拝会 斉藤 クニ子)

  •   皆様、お元気ですか。海外宣教者名簿を受け取りました。ありがとうございました。今日は聖ピオ十世教皇様のお祝いの日です。昔、この修道院を訪問され、お隣の部屋に宿泊されました。それで私は付き人のような気持ちになっています。皆様、いつかイタリアの旅にも来てください。
    (イタリア アッシジ コンベンツアル聖フランシスコ会 谷村 達郎)

  •   「きずな」を、そして「カトリック生活」「あけぼの」「聖母の騎士」などもお送りくださりありがとうございました。カトリック新聞で深堀司教様がご逝去なさったことを知りました。10年ほど前、ブラジル訪問時にパラグアイにもいらしてくださり、イグアスのコロニアでお目にかかりました。いつも私たち宣教者のためにご尽力くださいました。心から感謝申し上げます。
    (パラグアイ ピラポ移住地 聖霊奉侍布教修道女会 林 静子)



    エコー

    • 皆様の働きに、いつも頭が下がる思いです。幼稚園父母、園児、職員そして教会の皆様と心を合わせて行なったバザー収益のほんの一部ですが、お役立てください。お祈りと共に。
      (北海道稚内市 稚内カトリック幼稚園、カトリック教会)

    • いつも「きずな」をお送りくださりありがとうございます。各地でお働きの皆様の熱い思いが伝わってきます。あちこちで政情不安が伝えられる中、皆様のご無事を心からお祈り申し上げます。
      (北海道小樽市 桜井 佳子)

    • 皆様の上に主の豊かなお恵みがありますように。
      (鹿児島県鹿屋市 伊地知 咲子)

    • パウロ祭の収益金からの寄付金を送ります。
      (北海道留萌市 カトリック留萌教会)

    • ご苦労様です。皆様お健やかにとお祈りしております。
      (千葉県東金市 鵜澤 かね)

    • 皆様のお仕事の上に、神様のご加護がありますように。
      (大阪府箕面市 木嶋 照子)

    • 「きずな」108号ありがとうございました。宣教者の皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
      (東京都小平市 米沢 正博)

    • 些少ですが、お役に立てれば幸です。
      (香川県小豆郡 カトリック小豆島内海教会 岩永 千一)

    • 祈りの姉妹達からマリア様への献金です。代表で送らせていただきますので、匿名希望です。

    ECHO欄は国内会員からのお便りや、送金してくださるときに添えてくださったメッセージを中心に作成しています。



    海外宣教者国別統計

    (日本から海外に派遣されている宣教者)
    (2009年6月1日現在)

      『新入会員』

      個人会員 5名
      団体・法人会員 1件



    XmasGreeting

    『編集後記』

    ・日本は今年も余り寒くないまま待降節を迎えましたが、皆様のところはいかがですか。そしてご降誕、聖家族、神の母聖マリア、ご公現、主の洗礼と典礼は続きます。新型インフルエンザのワクチンの接種が、さまざまに取りざたされ て始まりました。皆様、ご体調に気をつけてお健やかにご降誕と新年をお迎えください。
    ・この一年も会員の皆様にはお世話になり、心から感謝いたしております。厳しい経済情勢は続くことと思われますが、来年もお祈りとご支援をよろしくお願いいたします。(す)


    発行:日本カトリック海外宣教者を支援する会
    会長: V.ローシャイタ神父

    〒106-0032 東京都港区六本木4−2−39
    Tel:03-5770-8753 Fax:03-5770-8754
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    ・銀行振替口座 みずほ銀行高田馬場支店 普通 2084112
        日本カトリック海外宣教者を支援する会 会長 V.ローシャイタ
    ・郵便振替口座 00140−5−67881 海外宣教者を支援する会