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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES





『アフリカ』






『コブラに襲われた神父様』

〜シエラレオーネ〜
御聖体の宣教クララ修道会 レティシア根岸美智子
 先日は住所録をお送り下さいまして、ほんとうにありがとうございました。たくさんの人々が日本から宣教師として外国で働かれているのをみて、心から力強く感じました。
 こちらシエラレオネには、現在、日本人は3名になり、一昨年到着したシスター鶴田は、ここから8マイルの所の病院で働いております。医師不足、薬品不足で毎日が大変のようです。
 病院に運ばれてくる時は、ほとんどが手遅れの状態で、赤ちゃんなどは50パーセントが死亡してゆくと云っております。
 どの宣教師も同じでしょうが、とくに一年目はいろいろと試練が多いようです。7年前、ナイジェリアに新しい修院を開くために出かけました頃は、まさに毎日が新しい経験で、さすがアフリカにいるのだという珍事件に何度もあいましたが、あわれみ深い神様は、そのつど助けて下さいました。
 ここルンサに新しい司祭がイタリアから一人到着しました。
 30歳の若さで希望いっぱい。今もはりきってがんばっていらっしゃいます。彼の到着6カ月間の主な珍事件というか、試練を例にしますと、電気がないので自家発電を使用していますがこれはなかなか発動しにくい時があります。そんなある日、彼は手首をいやと云うほどうちつけ、傷を負いました。
さて二度目は水不足。全く雨も降らないので井戸はからからです。土地の人は井戸を深く掘ることを怖がってやりません。
 そこで神父様、50度の暑さもなんのその、井戸掘りに頑張っていました。7メートル掘り下げた頃、彼は外に這い出ようと手がやっと外につく頃、足をすべらせ、まっさかさまに底に落ち、私たちの心臓を冷たくしましたが、神様は奇蹟的にお守りになり、足を7針縫った事ですみました。
 そして最近、彼は食後の果物をいただきましょうと倉庫の中をあけて入ったところ、2メートルのコブラがマンゴの上に、鎌首をあげているのです。とっさに飛出し戸を閉めた瞬間、へび君、神父様を攻撃すべく突進しましたが、戸に強く当って、命をまぬがれ、青い顔をして神父様「神様、もう3度テストされました。けっこうです。けっこうです」と悲鳴を上げていました。(中略)村人は私たちを見ると小島から飛び出しオポト(白人)、オポトーとあいさつします。村人は皆、カトリック・ミッションの人々を知っています。定期的にブラザードクター、シスターナース、そして私たちも訪問しているからです。とくに、ハンセン病や、結核、マラリアなどの病人、山多い村は、ブラザードクターの仕事は尽きません。その上、この地はリバーブラインドが多く、ある村など80パーセントが盲人になっているなど、生活はとても大変です。村人の生活は人間の生活とは思えないみじめな生活をしています。人々は宗教心が強く、死を、とても静かに受けとめます。どんなに貧しくとも、苦しくても自殺などということは聞いたこともありません。
いろいろな点で、まだ原始に近いですが、アフリカも―歩一歩それなりに前進していると云えるでしょう。シエラレオネの様子を少しでもと思い、ここに感謝とともにお便りさせていただきました。主において、いつも喜んで





『アジア』






『素朴な村人とともに成長を』

〜フィリピン・ティマナンにて〜
キリスト・イエズスの宣教会 山領俊子
 只今、カトリック移住協議会編の「世界に生きる」の本を頂戴いたしました。ありがとうございました。(中略)多くの方々の興味深いお便りを読む機会が与えられましたことは、大きなお恵みです。また、私共の為に、たえず祈り、援助して下さいます神父様方はじめ皆様に心から感謝申上げております。日本で皆様が考えていらっしゃるほどの苦労も困難もしていない生活で申訳ないのですが、素朴な村の人たちと共に少しづつ成長していきたいと願っています。
 フィリピンの国の政治改善のためにお祈り下さいませ。
(1982年9月7日)





『同胞宣教師の生活に力強さを』

御受難修道女会 マルグリット・マリー松田翠
 この度「世界に生きる」をご送付下さり、大変興味深く読ませて頂きました。ある意味では同じような、また、別の意味では全く違った環境と人々の中で、キリストの福音を伝えようとすべてを尽して生きて下さっている同胞の宣教師方の生活から、力強い何ものかが得られ、観想者として、もっともっと、第一線で働いておられるこれらの宣教師方のために、多くの祈りと犠牲をと励まされました。
 私が神戸海星女子学院高2、高3の時の受持で、また、世界史や宗教を教えて下さった当時のフランシスケンのシスター・武官節子が、全く違った環境で、今はフランス領グァダループ島でご活躍、その前は仏領ギアナで、奥地の貧しい生活をされていた宣教師としてのすばらしいお働きを、同じ本で読ませて頂いた時は大きな感激でした。アジア、アフリカ、南アメリカの諸国を皆様の筆をたどって旅しながら、まるで、実際に当地に行ったような感じでした。編集を思い立って下さった神父様、その他、いろいろとご協力下さった方々に心からの感謝を申上げたい気持で一杯です。心からの感謝をこめて。

「いって参ります」〜ブラジル宣教地へ〜
「いって参ります」〜ブラジル宣教地へ〜

ハンセン病の巡回診療をするシスターたち(純心聖母会)〜ブラジル〜
ハンセン病の巡回診療をするシスターたち(純心聖母会)〜ブラジル〜
   





『海外宣教を考える会からの報告』

マリアの宣教者フランシスコ修道会 新井安子
 海外に派遣されている日本人宣教者との連帯をもちながら、日本の教会の中に、海外宣教の精神を知らせ、広めたいという目的をもった数人が、今年の春から集まるようになりました。
 毎月集まりを重ね、少しつつ形あるものにしていこうと歩みつづけている小さな会でございます。
 11月10日午後、中央協議会で「なぜ、わたしは海外宣教に行くのか〜被宣教国である日本からなぜ?〜」というテーマで最初の研究会を開き、只今、ブラジルから帰国中のイエズス会貝塚神父様とマリアの宣教者フランシスコ修道会のシスター古屋をお招きし、お話しをしていただきました。その要旨をご報告いたします。
 (1)"派遣"という考え方=教会、社会の変化とともに、受け入れ側の教会の要求も、従来と今では変ってきている。
 とかく昔は、持てる国から持てる人が、貧しく乏しい国に、何かを与えるために行くという考え方だったが、今は教会から教会に派遣されて行く、日本の教会からブラジルの教会に派遣され、そこの人と連帯して行くことによって、広い意味の福音化を考えていくことである。世界的連帯のある教会の中で働く心構えでなければならない。
 (2)宣教師はまだまだたくさん必要=ブラジル人でもない、日本人でもないというコンプレックスを持った日系二世たちの悩みは大きい。彼らの悩みを理解できるのは、やはり日本人である。日本人のために働く人が必要である。そのためのリーダー養成をしているが手が足りない。恵まれた日本から出て、多くの信者たちが、信者としての生活をするために、たくさんの宣教師が必要だ。
 このほか、ブラジルの教会の特徴についても話された。
 講師2名、参加者9名というささやかな、また、なごやかなうちに、親しくお話しできたことは有意義でしたし、世界に目を向けて宣教していくようにと、もう一度、強く教えられた研究会でございました。
 次回は12月初旬に開く予定でございますお問い合わせは、無原罪聖母宣教女会、シスター高橋まで(03-701-3295)。