東ティモールとともに(2023/3/1)

東ティモールでミッショナリーとして生活する二人のシスターが、昨年の秋と冬にかけて久しぶりに日本を訪れました。シスター中村葉子とシスター西川久美で、パンデミックのため訪問が伸び、4年後の帰国でした。この二人のシスターの日本滞在は、わたしたち聖心侍女修道会の日本管区のシスター達にとって真に恵みの時となりました。
東ティモールはわたしたちにとって特別な国です。東ティモールの独立以前からシスター中村はこの国を熱心に支援していましたし、独立後修道院が出来てからは、清泉の生徒や卒業生、シスター達が様々なかたちでこの国の人たちと共に歩んで来たからです。東ティモールは昨年、独立 20 年を祝いましたが、わたしたちの会は今年創立 20 年を迎えます。創立の際には、わたしもシスター中村と一緒に土地や家を探して山岳地帯に出掛けたり、司教様に挨拶に行ったりしたため、この国は忘れられない思い出の地となりました。
東ティモールはインドネシアとオーストラリアの間に位置する小さな島国で、長野県ほどの国土に 130 万の人が暮らしています。この国の独立に反対するインドネシアからの弾圧によって、20 万の人が命を落としたにもかかわらず、東ティモールは自力で独立を獲得しました。

これは彼らにとって大きな誇りであると同時に、彼らがどのような人であるのかを知る大事な鍵です。
シスター中村とシスター西川は日本滞在中に様々な話をしてくれました。そして、二人を見て強く感じたのは、彼女達が如何に東ティモールとその人達を愛しているかということです。シスター中村は、自分は東ティモールに「はまった」のだと言っていましたが、彼らを愛さずにはいられない理由があるのです。東ティモールの人達は、簡素で素朴な生活をし、贅沢は求めない。助け合いの精神を持っていて、互いに助け合う。そのため、ホームレスはいない。自分達の力不足を自覚し、謙虚である。そして、根気強く、困難に耐えて生活しています。勿論、すべてが理想的とは言えませんが、皆、素晴らしい価値観のもとに生きているのは確かです。
現在、東ティモールにはわたしたちの修道会の共同体が三つあり、アルゼンチン、スペイン、ポルトガル、インド、ベトナム、フィリピン、日本、そして東ティモール等、8 ヶ国出身の 24 名のシスターが生活しています。創立者の聖ラファエラ・マリアは、「わたしたちの会は、教会のように、世界的なものでなければなりません。」と言っていましたが、東ティモールの共同体は正に「多文化共生」の共同体です。使徒活動としては、首都のディリに学生寮、低栄養児のためのセンターがあり、学習支援、語学教育も行われています。ディリから車で一時間半ほどの山の上にあるバサルテテでは幼稚園での教育に携わると同時に教区立の小学校を担当しています。ディリとバサルテテの中間に位置するカサイでは若いシスターたちが将来の使徒活動に備えて勉強中です。シスター達は、これらの活動を通して、多くの方々と共に神の愛を生き、伝えたいと願っています。
昨年ある新聞が社説の中で、独立後の東ティモールが治安の安定を保っていることを高く評価しているのを読んで嬉しくなりました。経済的にはまだまだ脆弱な国ですが、ASEAN への正式な加盟の日も近づき、平和のうちにさらに発展することが期待されています。わたしたちも今までのように東ティモールを応援し、ともに歩んで行きたいと思います。東ティモールの人々から学び、東ティモールのために出来ることを行いつつ。