トップ会報『きずな』28号目次 > 本文
KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES






『一歩、外側から見て』

ブラジル・カンビーナス教区 山本伊三男神父



 この長い二年の静修期間みたいな時を終る際に語りたいのは、ルカ福音書九章から十章を元に考えた…ものです。
 静修期間みたいと言うのは、ブラジル(で)非常に忙しい(時)、また、収穫の多い、働き手の足りない所を去って来て、楽に勉強、時々、労働、座禅、旅行、その他いろいろな体鼓をし、その間、自分の国については、…考え直したりすることしか出来なかったからです。…日本に居て、どうして日本で宣教しなかったのかと思われるかもしれませんが、まず、時間をむだにしないようにと思って、こちらの国で見聞きして、第三世界の貧しい人たちの為になるものがあればと思いながら過しました、イエズスは十二人を二人ずつ村や町々に遣わされました。私も、「何かのために任命されていたのか?」「失敗したのか〜」とにかく「帰国してからだ」と思っています。
 イエズスは弟子たちに「狼の群れに小羊を送りこむようなものだ」と云われました。それは十六世紀の日本を思い出させます。その時代に信仰を持つのは、命がけなことだったそうです。けれども、現代は何一つ危険性がないそうです。しかし危験性″はなければならないのか〜…絶対に平安”という現代は、福音の切れ味”が鈍くなったのでしょうか〜あるいは、社会がベストだから福音を必要としないのでしょうか〜。社会の状態が最悪だから福音化が必要≠ニ言うのは、圧迫されている…という意識がある国民の考え方です。例えば、ブラジルやラテンアメリカの教会の基礎協同体の人たち(です)。けれども、これらは大多数の中の少数です。大部肘分は、まるで、昆虫のような生活に追い込まれています。
 そこで社会の福音化を求める人たちは、迫害を受けがちにならざるを得ない。場合によっては、全く、小羊と狼の群れの戦いのようです。殺害されることを知りながらも、運動を続ける人たちも少なくない。この勇気は神からの、終りのない喜びを味わっている方たちのものと思います。この喜びの秘密は、イエズスの言葉にあります。「自分の命を救いたいと思う者は、それを失うが、私のために命を失う者は、それを救うのである」(ルカ・九〜二十四)イエズスのためと言うのは、貧しい人たちのことです。「この最も小さい者の一人にしなかったことは、私にしてくれなかったことなのである」(マタイ・二十五〜46)…ところで、イエスズの平和とは何ですか〜。ヘブライ語では「シヤローム」と言います・それは完全無欠である状態を…意味します。
 では、その時代を日本は今迎えているのか〜と思わせます。
 さらに、正義を行なう社会は、クリスチャンであっても、なくても、神にふさわしいことに違いありません。
 ところが、一歩外側に居る私に見える限り、考え直さなければならないものが沢山あります。例えば、日本の大企業、銀行の経済支配。これを日本の援助と云うのは事実ではありません。人間が崩されつつある山谷や釜ケ崎を「必要悪」と言い、安心すればよいのか〜。
 子どもが勉強に追い詰められ、自殺するのはぜいたくと言い張ってすむのでしょうか〜。階級差別は国民全体が「中(流)階級」と踏んばればいいとしても、人種差別はそういうわけにはいきません。先進国の飽食文化の後ろには、歴史的に…大多数の飢え死にする人が居ます。だから「神の国は、あなた方に近づいた」と、もう一度知ると同時に、キリストの平和を迎える準備をしましょう。






『第29回役員会報告』

 「会」の第か回役員会が七月七日(金)午後6時から中央協会議室で開かれ、次の案件を審議、決定した。
@一九八八年度収支決算報告、承認(別稿)。
A一九八九年度予算案審議、決定。
B一九八九年度事業計画審議、決定(別稿)。
C「きずな」27号について今回、加ページと内容も豊富になり、出版物の紹介もよかったとの感想が述べられ、今後も出版物の紹介を続けることになった。
D「きずな」少号について
  • 巻頭言は、山本伊三男神父に依頼
  • 九月一日発行・四〇〇〇部
  • 原稿〆切は八月十日E援助審議(別稿)Fその他=「きずな」27号で「車イスを集めています」でアピールした車イスに、一台、古いものが木更津教会に来ているが、あと二台を新しく買って、会として届けることを決定した。 山本伊三男神父様が、日本での勉学を終え、援助へのお礼に見えたので一緒に食事し、いろいろ話を伺い、有意義な一時を過した。






『一九八八年度事業報告』

 @広報活動=広報誌きずな24別号から27号を発行(6月、9月、12月、3月)・一回四〇〇〇部。
 A海外宣教者を支援する会=年四回開催(7月は日、10月4日、12月15日、3月28日)
 B援助活動=総額九、三四六、〇一五円・内容=病院医療器具、学校教材費、中古衣料、学校、医療設備の増築費の一部、書籍その他22件。地区=約12地区。
 C活動による援助=◎クリスマスカードを海外で働く宣教者全員に、会員有志で分担して送付。◎海外の現地の人々が作った品物を、教会バザーや売店で販売。◎中古衣料を分担し、援助のため、発送の荷物づくりの手伝い。


物残高一五、七一〇、二四二(次年度繰越金)援助金積立計二、〇〇〇、〇〇〇1五、七l三、五七四(広報「きずな」4回発行、通信費ほか)送料、印刷代、援助金運営経費ヽヽ○六四大_⊥⊥ノヽ/ヽヽヽ七九五七七九支出の部会員寄付金預け金利子前年度繰越金計一一、四七六、八〇四三、〇三八、三三一一六、九〇八、六八一:〓、四二三、八一六収入の部援助決定(1989.7.7決定分)





『一九八八年収支決算報告』

 (一九八九年三月三十一日現在。単位・円)
 収入の部
会員寄付金11,476,804
預け金利子3,038,331
前年度繰越金16,908,681
31,423,816

 支出の部
援助金11,966,793
運営経費(公報「きずな」4回発行、送料、印刷代、通信費他)2,046,779
援助金積立2,000,000
15,713,574
残高15,710,242






『援助決定』

地域申請者援助内容援助額摘要
ブラジルコンベンツァル聖フランシスコ修道会松尾繁詞神父大文字祈り本・送料30部24,100円1回
フィリピン(ミンダナオ)ベリス・メルセス宣教修道女会吉屋孝子イスラムキリスト教難民共同体53戸の配線工事USAドル3,408ドル(約500,000円)
インドネシア(メダン)聖母カテキスタ会千葉礼子カトリック小学校校舎移転命令による教室増築520,000円増築費の一部
ボリビアサレジオ会倉橋輝信神父宣教用事のガソリン代補助300,000円1回
ブラジル井戸井栄神父宣教用車のガソリン代350,000円1年分