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KIZUNA 日本カトリック海外宣教者を支援する会 JAPAN CATHOLIC ASSICIATION FOR AID TO OVERSEAS MISSIONARIES

きずな


《巻頭言》

《「「メリー・クリスマス、神父さん!」》

フランシスコ会司祭 佐藤 宝倉
(アシジの聖フランシスコ・デフ・センター)
  「メリー・クリスマス、神父さん1」というメッセージを、8月17日に受け取ったとしたら、皆さんはどのように感じられるでしょうか。少々奇異に感じるのではないでしょうか。携帯電話のメールで送信されてきたこのメッセージの意を汲むのには、私にも多少の時間を要しました。
  私か生活の基盤を置いているフィリピンでは、毎年、9月1日からクリスマス商戦を始めることが、大きなショッピング・モールの慣例となっています。その事実を考え併せると、半月だけ早めのメッセージということになり、合点がいかないわけでもありませんよしかし、当時の私には、人々の習慣や考え方がわからず、このメッセージに戸惑い、修道院の兄弟に訊ねました。“メリー・クリスマス!”は、主のご生誕祭当日のみならず、その祝日が近づいたら、あいさつ代わりに言い合う言葉だそうで、“信仰の喜びを表ずという意味合いから、目上の人や知人に“クリスマス・プレゼントを期待する“意味合いまで含む、幅広いあいさつの言葉であるということでした。
  私か洗礼を受けた47年前、待降節に入っだ途端にオルガンの音は止み、節制の時を過ごしたものでした。また、フィリピン支援を始めてからは、雪降る夜、アルミ缶を集めて歩いたりもしました。しかし、フィリピンにはそういうストイックな様相は全く見られません。待降節に入ると待ちかねていたかのように、クリスマス・パーティー・ラッシュが始まります。日本の忘年会のような印象ですが、普段パーティーを開く機会に恵まれない人たちにとっては、一年に一度の大切な「再会」の時でもあるようです。老神父に訊ねてみると、「普段の生活の中で、断食を自分と自分の家族に強いなければならない状況にあるフィリピン人にとって、待降節は、節制と断食の時期ではなく、信仰の喜びを楽しむ時期である」ということでした。
  確かに、人々はパーティーを楽しむばかりでなく、要所をきちんとしめるコツを知っているのです。彼らの信仰の意気込みは、ご降誕祭前の9日間の早朝ミサ(ミサ・デ・ガリオ)でクレッシェンドしていきます。朝3時には起床、3時半頃から、自分の教会に向かって一斉に歩き始めます。何百人という人々の整然とした足音は、冬の早朝のしじまにイザッ、ザッ」とベースの音のように響いてきます。静かにミサが始まりますが、『グロリア』の歌声が高らかに聖堂の屋根を打ち振るわせる時、人々の“主を愛する熱情”は早くも絶頂をむかえます。主の降誕をただ静かに待つ信仰のあり方ではなく、「主の降誕をはち切れんばかりの満面の喜びをたたえて、自分の方から迎え出ようとする熱い信仰」がそこにあるのを見ました。「イエス様を本当に愛していることの全感情を表出させ、神に応えようとする彼らの生涯にわたる忠誠と誓約]であるとj私は実感しました。
  修道院のフィリピン人司祭たちも、あちらこちらの教会から声がかかり、早朝ミサをささげるのに大忙しです。また、10日間地方の教会に派遣されたり、フィリピン全国に23以上あるクララ会の修道院へと出かけていかねばなりません。クリスマス・イブ、私たち外国人組の司祭たちは、敷地内にある小教区の夜半ミサに出席し、静かにノーチェ・ヴエナ(真夜中の食事)の時を待ちます。深夜、ミサに出かけていた兄弟たちが修道院に戻り、食事が始まります。外国人組としては、「主の降誕祭後の8日間」の祝いの継続を期待していたのですが、フィリピン大の兄弟たちは、翌朝、早々とそれぞれのファミリーのもとへ旅立っていました。なんと寂しいクリスマスになってしまったものだと、彼らの信仰のリズムに順応できない自分を恨むと同時に、自分の信仰の持ち方を根本から問いたださなければなりませんでした。
  こちらに来て約1年が経過しようとした5月の末に、忘れられない出来事がありました。日本からの資金が枯渇してきたので、事務所に居住するフィリピン人ろうあ者の皆さんにも、ご飯の量は減りませんが、おかずの数を減らすことを了承してもらいました。そんなある日、私の口からクリスマス・ソングの『おお、聖なる夜』と『アヴェ・マリア』が繰り返し、繰り返し漏れ出てくるのでした。うっすらと目に涙を浮かべながら、私は「神様、ありがとう!」と言いましたよ「がまんだけではなく、がまんの中であなたにのみ信頼することを教えてくださって! 自分が考えていた宣教が、いかに安っぽいものであったかを教えてくださって!」。そして、長い、長いクリスマスの意味も理解させていただくことになったのです。
  私は今、青森県むつ市にある大湊カトリック教会に6か月間、仙台教区支援のために派遣されて来ています。日本人の信徒さんとクリスマスをお祝いすることはもちろんですが、この地域にいるフィリピン人(コロンビア人も1名)と共に「日本に来て最初のクリスマス」を祝う準備を進めています。
  皆様、メリー・クリスマス!


  

『第42回運営委員会議事録』

日 時:2011年9月10日(土) 15:30〜17:00
場 所:六本木チャペルセンター・コーヒールーム
 議事に入る前に堅信式のため参加できない中谷功神父からのメッセージが披露された。
議 事
T.きずな116号について
 諏訪編集担当委員からのメッセージ:宣教者のお便りのほとんどがカンボジアからのもの だったが、今回はカンボジア特集にならないように配慮した。
 シスター林の妹さんの感謝のお便りが記事になったことについて、[家族も修道者の召命につなかっている]という言葉が紹介されたことはとてもよかったという感想があった。

U.きずな117号について
 巻頭言は、フィリピンでろうあ者のための活動をしているフランシスコ会の佐藤宝倉神父にお願いすることになった。現在、仙台教区の震災救援のため、大湊教会に滞在中。
 原稿の締め切りは11月10日、発行は12月1日、発送作業は12月1日(木)の予定。

V.援助申請の審議
 @カンボジアのSr.橋本進子・Sr.谷村恵子(ショファイユの幼きイエズス修道会)から申請されたガソリン代1年分の6,638ドルの支援について:読書推進、幼児の栄養補給、医療活動などで週5回、5つ以上の町村を巡回するため必要なもので、これまでの支援の詳細な支払い明細も添付されており、活動に不可欠な経費として承認。
 AカンボジアのSr.橋本進子(同上)から申請された8か所の図書整備代、カトリック文化センター図書館の図書代として、2,560ドルについて:戦乱ですべての図書が焼失した状態を改善するため、昨年に続いての図書費支援の申請である。幼児から大学生までが利用できる環境を作るために修道会として協力しているとのことで、今年度も承認。今後5つの村で行っているという「アンチエ教室」の意味や内容について照会すること。
 BシエラレオネのSr.根岸美智子(御聖体の宣教クララ修道会)から申請された電源用発電機の燃料代30万円および緊急医療費として10万円の申請があり、審議の結果、合計40万円の援助を決定した。
    
以上3件で支援金額合計は1,132,620円(交換レート79.65円/ドル)

W.「きずな」発送用宛名ラベルについて
 これまでカトリック中央協議会事務局に依頼していたこの発送用の封筒作成を、116号から当方で行うことになり、多くの人の協力を得て、3,000通を超える住所のラベルを作成、封筒に貼る作業をし、何とか発送できた。外注することを検討するために業者に見積もりを出してもらったが、それなりの経費が掛かることが分かった。ラベルの印刷については、データをファイルメーカーによりパソコンにインプットし、変更事項をアップデートするだけの作業でよいことがわかった。結論として、当面、ラベル貼りの作業は、協力者を増やす努力もして当方で行うことになった。

X.ホームページについて
 しばらく更新をする余裕がなかったが、8月末から9月に入り、「きずな」115号や「宣教者の声」を掲載し、掲示板の更新を行った。新しく掲示板に掲載したのは、Sr.松山(ショフアイユの幼きイエズス修道会)が出版された絵本「チャドの大地」の紹介であり、それと共にこれまでの掲示板に掲載した記事をバックナンバーとして閲覧できるようにした。

Y.クリスマス・カードについて
 昨年と同様、カルメル会のSr.山本の作品を拝借して、当方で作成することにする。メッセージ文は波多野真理子委員が担当。

Z.バザーに関して
 次のような日程で当番を決め、出店することになった。9月15日に関係者が集まり、販売品、集荷、運搬、値札付けなどについて話し合う。
 1)10月9日(日) ヨハネ祭(小金井教会)
 2)10月16日(日)関ロカテドラル祭
 3) 10月23日(日)徳田教会
[.その他
 1.事務局はしばらくの間、業務日を月曜と金曜の2日間とすることになった。
 2.年末年始の事務所の閉鎖は12月27日(火)から1月5日(木)までとする。
 3.次回の運営委員会の開催は、12月なので、中谷会長代行の都合を勘案して決めることにする。




皆様のご支援をお待ちしております

1982年9月、世界各地へ派遣されている宣教者を日本から支援するためにこの会は設立されました。以来、困難な状況にあって現地の人々と共に生活し、喜びも悲しみも分かち合って活動する宣教者を物心両面から支援してきました。これからも皆様からのいっそうのご支援をお願いいたします。
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